もし虫歯になって治療が必要になった場合、何歳から治療をするのか?
まずは、何歳から歯医者にいけばいいのかですが、「赤ちゃんでもいいから、なるべく早いほうがいい」とお伝えしています。
赤ちゃんの場合、まだ歯の本数も少なく、食べ物も離乳食などで限られており、虫歯になっていることはほとんどありませんが、
- 歯科医院の音や匂いなどの環境に慣れてもらうこと
- お口の中を触られることに、早いうちから慣れてもらうこと
- 保護者の方に、仕上げ磨きのポイントをお伝えできること
- 歯科医院の立場からの、離乳食や子育てのアドバイスができること
慣れたり、お口のケアのアドバイスをもらうようにしましょう。
小さい時から、保護者や歯科医院で、お子さんのお口の中をきれいな状態に管理していると、虫歯になることはまずないでしょう。
しかし、気をつけていても、食生活や生活環境の変化などで、虫歯になってしまった場合、あるいは歯科医院に行ったことがなく、気がついたら歯に穴が開いていて黒く虫歯ができてしまっていた場合、どうすればいいでしょうか?
虫歯は自然に治るものではなく、時間と共に進行していく病気です。 ですので、大人の方と同じように、虫歯になっている部分を削りとり、レジンというプラスチックで埋めたり、歯髄(歯の中にある神経)にまで達するような大きな虫歯では、神経を取る治療が必要になります。
さらに、虫歯が進んで、歯がほとんど残っていない場合、抜歯となることもあります。 治療となると、歯を削る道具を使いますし、穴を埋める際には長い時間お口を開けたままになりますし、臭いのする材料なども使います。 また、神経を取る治療や抜歯となるようなら、麻酔をすることもあります。
このような大人と同じ治療が、小さなお子さんにできるようになるのはいつぐらいからでしょうか?
虫歯の治療は何歳から?
その子供にもよりますが、虫歯の治療を始められるのは、だいたい3歳くらいからと言われています。
理由・・・
- 虫歯の治療の必要性を理解できるようになる
- 先生やスタッフとコミュニケーションがとれ、話す内容がわかるようになる
- 診療の椅子に座り、ある程度の時間、お口を開けたままにできる
などの行動を取ることができるのが、だいたい3歳くらいだからです。
しかし、個人差があるため、もっと小さくても治療を受けられる子もいれば、3歳でもすぐには治療ができない場合もよくあります。中には、恐怖や不安から4、5歳になっても治療ができない子もいます。
その場合、保護者の方の「早く治療をしてほしい」という気持ちはわかるのですが、虫歯の進行を抑えるお薬を塗って様子を見たり、それすらもできない場合は、まずはお口を開ける練習や、椅子に座る練習から始めることになります。
一番よくないのが、虫歯治療ができないからと言ってきつく怒ったり、押さえつけて無理やり中途半端に治療をしてしまうことです。そうすることで、子供ながらにトラウマになり、歳を重ねても虫歯の治療ができなくなったり、大人になっても歯医者に行くのが嫌になることがあります。中には歯への関心もなくなり、歯医者に行くのも嫌なため、若いのに歯がボロボロのままの方もいらっしゃいます。
子供の治療で大切なこと
いきなり治療ができる子もいれば、そうでない子もいます。 虫歯治療の目安はだいたい3歳くらいですが、その子の成長のスピードに合わせることが大切です。
小さなお子さんが虫歯治療を受けるのはとても大変ですし、保護者の方も心配になると思います。
どうしても泣きじゃくったり、何もできないこともありますが、本人が少しでも頑張っていることを褒めて励まし勇気づけてあげましょう。
子供の歯(乳歯)は虫歯になりやすい!?
子供の歯は、乳歯とも言われ、生まれたばかりの赤ちゃんには生えておりません。
(まれに「先天歯」と呼ばれる、生まれた時から下の前歯が生えている場合があります。それ自体に問題はないのですが、おっぱいを飲むときに唇や舌に当たって傷つけてしまうことがあります。角を丸めたり、プラスチックで表面をコーティングして対応します。)
生後、半年くらいから下の前歯(乳中切歯)が生えてきて、少しすれば上の前歯が生えてきて、あとは順に奥の方に向かって生えていくことが多いです。
そして、2歳半~3歳になる頃には、乳中切歯(A)、乳側切歯(B)、乳犬歯(C)、第1乳臼歯(D)、第2乳臼歯(E)の5本が、上下左右に生えてきて、合計20本の歯が生えそろいます。
その後しばらくは、この20本のままで成長し、6歳頃から永久歯への生え変わりや新しい奥歯が生え始めます。永久歯への生え変わりも前歯から起こることが多く、第2乳臼歯(E)は小学校の終わりの11〜12歳まで残ったままになります。
意外と長い期間、お口の中にある子供の歯
大人の歯に生え変わるまで、虫歯にならないか心配ですよね。
しかし、聞いたことがあるかもしれませんが、「子供の歯(乳歯)は虫歯になりやすい」のです。
理由・・・
- エナメル質や象牙質の厚みが半分くらいしかない
- 歯の表面自体も柔らかい
- 自分でしっかりと歯磨きをすることができない
- 甘い食べ物や飲み物をだらだらとってしまう
- 痛覚がにぶいため、虫歯に気が付きにくい
などが挙げられます。
乳歯は永久歯と比べると、歯の厚みが薄く、構造的にも柔らかいため、虫歯にはなりやすいです。
そして、歯の厚みが薄い分、歯髄(歯の神経)までの距離が短く、早めに治療をしないと、歯髄(歯の神経)にまで虫歯菌が入ってしまうことがよくあります。
お子さんの場合、痛覚も発達途中でにぶいため、虫歯になっていてもあまり痛みを感じにくく、自分からはなかなか保護者に伝えないため、虫歯の発見が遅れることもよくあります。
また、自分では歯磨きが上手にできなかったり、甘いジュースやおやつをよく食べる環境も、虫歯になりやすくなる原因になります。
これらをふまえて、乳歯の虫歯を防ぐために必要なこと
- 保護者の方がきちんと仕上げ磨きする
- 間食は時間を決めて行う
- 歯科医院で定期検診を受け、クリーニングをしたりフッ素を塗る
- 赤ちゃんの頃からスプーンや箸は別々にする
- ご自身も虫歯治療や定期検診を受け、お口の中を清潔に保つ
ことが大切です。
子供の歯の虫歯は、子供だけの問題だけではなく、嫌がるので仕上げ磨きをしていなかったり、ぐずったり甘やかして甘いものを与えている、保護者の責任が大きいです。
生まれてすぐの赤ちゃんのお口の中には、虫歯菌はおらず、保護者や周りの方の虫歯菌が感染するため、周りの方のお口の中もできるだけきれいであることが望ましいです。
また、赤ちゃんの頃からスプーンや箸は同じものは口にせず、別々にしましょう。
乳歯は生え変わりますが、虫歯が神経にまで進むと、骨の中で膿んだりして、永久歯にまで影響を及ぼす可能性があります。
穴が開かずに進む虫歯の場合、保護者の方でも気が付きにくい場合もありますので、小さいうちから歯科医院で定期検診を受けるようにしましょう。
子供が虫歯にならないように
一番大切なのは、治療の必要がないように、子供が虫歯にならないようにすることです。 小さい子供は、きれいな字が書けないのと同様、自分で上手に歯磨きをしたり、糖質制限をすることができません。
子供の虫歯は、保護者の責任といっても過言ではありません。
まずは大切な子供のために、どうしたら虫歯ができないかを保護者が知っておく必要があります。
- 赤ちゃんの頃からスプーンや箸を別々にしていますか?
- 仕上げ磨きはきちんとしていますか?
- 食事や間食の時間は決まっていますか?
- だらだら食べ、ちびちび飲みはさせていませんか?
- 糖分の多いものをよくあげていませんか?
- よく噛む食事を与えていますか?
- 子供を定期検診に連れて行き、クリーニングやフッ素塗布を受けていますか?
- ご自身も虫歯の治療や定期検診を受けていますか?
共働きだったり家庭環境でなかなか全ては難しいことはありますが、正しい知識を知って実践する必要があります。
子供がいる方は、小さい頃から虫歯にならないように歯科医院で定期検診やフッ素を塗ったり、音や臭いなどの独特な環境に慣れるようにしましょう。
虫歯の治療が上手にできるようになるためにも、できるだけ小さい頃から歯医者に通い、見てもらうようにしましょう。
間食の仕方や仕上げ磨きの方法、離乳食のご相談なども承っておりますので、ぜひ一度ご相談ください。