みなさんは歯を磨く際に、歯ブラシ以外は使われていますか?
6年に一度行われる、大規模な国勢調査である歯科疾患実態調査の平成28年度の結果では、歯磨きの時に、
デンタルフロスや歯間ブラシを使っている人の割合は30.6%
ちなみに
舌清掃を行っている人は16.6%
でした。
男女別ではほとんどの年代で女性の方が補助器具を使ったり、舌磨きをしている人の割合が高かったです。
40~70代の女性では、半数以上がデンタルフロスや歯間ブラシを用いて歯の清掃をしているそうです。
性格の違いや美意識の違いもあるかもしれませんが、男性も見習わないといけないですね。
歯ブラシだけでは歯についている歯垢(プラーク)は約60%しか落とすことができない
ため、老若男女問わず歯間ブラシやデンタルフロスを使うようにしましょう。
歯ブラシ・補助器具(フロスや歯間ブラシ)の正しい順番
補助器具のフロスや歯間ブラシをお使いのほとんどの方は、「歯ブラシ → 補助器具(フロスや歯間ブラシ)」の順番で使用されているかと思います。
現に院長の私もその順番で行っております。
しかし、2017年のMazhariらの調査結果では、「歯ブラシ → フロスの順番」で行うよりも、『フロス → 歯ブラシの順番』の方が歯と歯の間の歯垢(プラーク)の除去や歯と歯の間に残るフッ素濃度の上昇が見られたそうです。
これは、先にフロスを行うことで、歯と歯に溜まっている歯垢(プラーク)が押し出され、それらが歯ブラシによって効果的に除去されるからだと考えられます。
歯間ブラシも同様、先にした方がいいと思われます。
ですので、歯ブラシと補助器具の順番ですが、
補助器具(デンタルフロス、歯間ブラシ)をしてから歯ブラシをするのが良いでしょう。
ただし、絶対にこの順番で、というわけではありません。
むしろ、補助器具を使っている人がまだまだ少ないので、まずは使うことから始めましょう!
歯間ブラシの選び方やデンタルフロスの使い方など、どんな些細なことも、気軽にご相談ください。
歯ブラシ+デンタルフロスや歯間ブラシでの歯垢(プラーク)除去率80~90%
これらも含めて、お口の中をきれいにしようとすれば、やはり1~2分では終わりません。
「歯は一生もの」
80歳、100歳になっても自分の歯で楽しく美味しく食事ができるよう、日々の口腔ケアをがんばるようにしましょう。
そして、きちんとお口の状態をよくキープするために、定期的な歯科検診を受診するようにしましょう。
歯ブラシの交換時期
みなさんは1日何回歯磨きをしているでしょうか?
また1回の歯磨きにかける時間は何分くらいでしょうか?
人によって1日に歯ブラシを使っている時間や回数、そして使う時の強さはそれぞれだと思います。
つまり歯ブラシの毛先が開いてきたりするペースは様々です。
それでは人によって歯ブラシの交換時期は違うのでは?ってことになります。
しかし、よく患者さんには、
『歯ブラシは1ヶ月に1回、新しいものに変えましょう』
とお伝えします。
歯ブラシの毛先が開いてきたら新しい歯ブラシに交換する、ということは聞いたことがあるかもしれません。
毛先が開いた歯ブラシでは、歯の表面はなんとか磨けたとしても、歯と歯茎のきわ、歯と歯の間などの細かい部分はきちんと磨くことができません。
しかし、磨く時の強さが弱かったり、歯ブラシの種類、また歯ブラシの毛先の種類などで、2、3ヶ月しても歯ブラシの毛先がほとんど開いていないので、まだまだ使えるぞと思われる方もいらっしゃるでしょう。
歯ブラシの毛先の開き具合は歯ブラシを交換するタイミングの大事なポイントですが、もう一つ大事な点があります。
それは、使い続けることによる細菌の繁殖の問題です。
歯をきれいに磨いた後は、お水でしっかりと歯ブラシを洗うと思いますが、実際に歯ブラシについた細菌を全て洗い流すのは不可能です。
使うたびに少しずつですが、細菌が残っていっているはずです。
その歯ブラシを使い続けることは不潔ですし、お口の中に細菌が残ることで口臭の原因になるかもしれません。
なので、歯ブラシの交換時期の目安は約1ヶ月。なぜなら、
- 歯ブラシの毛先が開いてくると、歯垢(プラーク)がきちんと取れなくなるため
- 長い間同じ歯ブラシを使うと、細菌が繁殖してくるため
です。
みなさんはどれくらいのペースで歯ブラシを交換していますか?
1ヶ月?2〜3ヶ月?それとも1年以上同じものを使っている?
交換には手間と費用がかかりますが、歯ブラシは1本数百円。1年でも数千円です。
大きく虫歯になったり、ひどい歯周病にならないよう、大事な歯を守るために時間やお金を少しでもかけるようにしましょう!!
お子さんがいらっしゃる方は、きちんとフロスを使って仕上げ磨きをしてあげましょう
小さいお子さんがいらっしゃる方、きちんと仕上げ磨きはしてあげられているでしょうか?
2019年のある調査結果では、保護者が仕上げ磨 きをする児童は,小学1年生で 62.5% だそうです。
歯ブラシの習慣や、保護者の意識の変化等で、年々、子供の虫歯の本数は減ってきています。
しかし、まだまだ0とまではいきません。
日常のお口の清掃には、歯ブラシを使われると思いますが、歯ブラシだけでは約60%の汚れしか取れないと言われており、歯ブラシ以外にもデンタルフロスや歯間ブラシを併用し、歯ブラシでは届きにくい歯と歯の間を磨くことが虫歯予防に重要です。
では、お子さんにきちんとフロスを使っているでしょうか?
同じ調査の結果では、愛知県の小学生298人のうち、18.4%がフロスを使っていたそうです。
反対に62.4% がデンタルフロスを知らないもしくは使用経験がないとのことでした。
ちなみに、子供がフロスをしようと思ったきっかけの第1位が「歯医者さんで勧められたから」だったみたいです。
多くの小学生がフロスのことを全く知らないので、フロスはどういうものか、どうやって使うかなどは歯医者さんで知ることが多いみたいです。
より多くの子供が、小さいうちから歯医者さんに通い、自分で歯を守れる術を伝えられたらいいなと思います。
また、保護者の方も、ご自身でしっかりとフロスを行い、そのやり方や大切さをしっかりと伝えてあげましょう。
歯ブラシをきちんとしていても虫歯になるという方は、たいてい歯と歯の間から虫歯になります。 大切なお子さんの歯を守るためにも、仕上げにフロスをするようにしましょう。
そして、成長とともに自分でフロスまでできるようになれば、もう安心です。 (もちろん糖分摂取などの生活習慣にも気を付けましょう)
※参考文献:学童期における口腔清掃環境とデンタルフロスの使用状況 小児歯科学雑誌 57(1): 30−36 2019古川 佑美 他