お子さんの歯並びで気になることはありませんでしょうか?
そもそもどうして咬み合わせや歯並びが悪くなるのでしょうか?
遺伝だから仕方がないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「遺伝的要因」以外にも様々な原因が合わさって、歯の並びや噛み合わせは変わります。
「遺伝的要因」というのは、「あごの骨が生まれつき小さい」「生えてきた永久歯が大きい」などの原因のことです。
こればかりは、後から変えることはなかなかできませんが、遺伝的要因が原因の歯並びはごくわずかだと言われます。
遺伝的原因とは別で、日々の生活週間や食習慣など、生まれてから成長する過程での環境が原因になるものを「環境的要因」と言います。
「環境的要因」について
- いつもぽかんと口が開いている(口呼吸)
- 舌や頬、唇などのお口のまわりの筋肉が弱い
- 指しゃぶり、爪を噛む、頬杖をする、うつ伏せでよく寝る
- 舌を前に出す癖がある(舌突出癖)
- 食事の時、しっかり咬まずにすぐ飲み込む
- 猫背、姿勢が悪い
といった、日常生活における癖や生活習慣のことです。
「遺伝的要因」とこれらの「環境的要因」が合わさることで、歯の並びや咬み合わせは悪くなってしまいます。
子供の歯並びが悪い、ガタガタしている、受け口になっているので矯正が必要だとは思うけれど、ほったらかしにしてしまっている、という保護者の方も多いと思います。
「矯正するなら将来働いてから自分でさせよう」と考えている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、子供の時の歯並びが悪いままだと、その後の全身の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。
子供の歯並びや噛み合わせが悪いままだと
虫歯や歯周病になりやすくなる
歯がガタガタと重なっていると、食べ物が間に挟まりやすくなったり、歯みがきでそれが取りにくくなったりします。そのまま、食べ物や細菌が残っていると、虫歯や歯周病になりやすくなります。また、治療も難しく、再発するリスクが高くなります。
顔の成長に影響を与える
上下の歯でしっかりと、よく噛むことで、あごの骨に刺激が伝わり、あごの骨は健全に成長していきます。食事の時によく噛まなかったり、舌の位置が悪く顎がうまく成長できなかったり、口呼吸でいつもポカン口だと、あごの骨がうまく成長せず、表情筋の発達も弱く、将来的な顔つきにまで影響を与える可能性があります。
口臭がしやすくなる
歯並びが悪く、食べ物や細菌が歯の間に残ったままになっている、加えて口呼吸をしていることで口の中が乾燥してしまうと、口臭がする原因になります。
風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすい
あごの骨がきちんと成長しないと、鼻腔も狭いままになり、鼻での呼吸がしにくく、どうしても口呼吸になってしまうことが多いです。口呼吸の場合、細菌やウイルスが直接喉に運ばれるため、風邪を弾きやすかったり、インフルエンザなどの感染症にかかりやすくなってしまいます。
集中力が低くなったり、姿勢が悪くなる
あごの骨の成長がきちんと行われないと、1回の呼吸による空気の取り込み量が少なくなってしまい、脳に酸素が行き渡らず、集中力が欠ける原因になります。その場合、学力にも影響が出ることがあります。また、無意識に多くの空気を取り込もうとすることで、少し前傾の姿勢になり、猫背などの悪い姿勢になりやすくなります。
歯並びや噛み合わせが健全であれば、身体もより健やかなに成長していきます。
歯の並びの問題は歯だけの問題ではなく、その子供の成長にまで関係してくるのです。
ですので、歯の並びや噛み合わせの改善は、早いうちから行うことをお勧めしております。
特に子供の場合は、歯のも生え変わりますし、顎の骨も柔らかく、顎の成長などもコントロールできるので、矯正は大人と比べるとやりやすいです。
歯並びに関係するあごの骨の成長や発育をコントロールできるのは、成長過程の子供の時期だけになります。
そこで成長過程だからこそできる小児育成矯正をご紹介します
当院では小児マウスピース矯正装置を使った小児育成矯正を行っております。
お子さんの将来のためにも、小さな頃からのお口のケアをおすすめします。
小児育成矯正のメリット
- あごの成長、発育を健全に導くことができる。
- ワイヤー矯正装置のように、装置が外れたりする心配がない。
- 取り外しできるの装置なので、歯ブラシが普段通りにできるので、虫歯になりにくい。
- 将来的に、歯が並ぶスペースが足りず、抜歯や手術を受けなくてよくなる可能性が高い。
- 歯並びがガタガタしている、出っ歯である、下のあごが前に出ている(受け口)など、歯並びや噛み合わせを改善できる。
- 正しく食べられる、正しく話せるようになる。
小児育成矯正のデメリット
- 取り外しの装置になるので、きちんと使用時間や使用方法を守っていただけない場合、矯正の力がかかりにくく、思うような結果にならない場合がある。
- 子供も含め、親の協力も必要になってくる。
- 成長に伴い、歯の並びが悪いままだと、将来的にもう一度矯正が必要になる場合がある。(ただし、あごの骨がしっかり成長している場合、その後の矯正治療は短期間、簡単で済むことが多いです)
当院で使用している、小児用マウスピース矯正装置のご紹介「プレオルソ」
プレオルソは、歯並びや噛み合わせを改善するとともに、お口の筋肉や舌の位置も正常に導いていく、子供のためのマウスピース矯正装置です。
既製品なので(サイズは色々あります)、ワイヤーなどの大きな装置を装着する必要がなく、お子さんも嫌がりません。
乳歯列期(まだ永久歯が生えていない、乳歯だけの状態)と混合歯列期(永久歯が生えてきた、乳歯が生え変わってきた状態)である5~10歳くらいの時に使用します。
取外しが可能で、ご自宅にてご自身で装着し使用して頂きます。
お口周りの筋肉や舌が正常に機能していないことで、あごの骨の成長が妨げられたり、歯並びが悪くなってしまうことをふせぎます。
ぽかん口(口呼吸)や歯ぎしりなどの改善にも役立ちます。
プレオルソの特徴
- 歯並びや噛み合わせの改善、悪化の予防につながる
- ワイヤー矯正のように痛みがほとんどない
- 舌を正しい位置(スポット)に持ってこられるようになる
- お口のまわりの筋肉のバランスを整える
- あごの骨の前後的・左右的なズレの改善ができる
- 寝ている間と家にいる中で1時間装着する
- 一般的な小児矯正よりも費用が抑えられる。
プレオルソの使い方ですが、基本ご自宅で使用します
日中
最低でも1時間以上、できるだけ長い時間装置を入れて過ごします。
基本はお口を閉じるようにしますが、プレオルソを装着したまま、会話をしても大丈夫です。
就寝時
装置をお口の中に入れたまま、寝てください。
装置が大きいので、寝ている間にお口が開いてしまう場合は、テープなどでお口が開かないよう、唇をふさぎます。
トレーニングを併用することでさらに治療効果が高まります
- 舌・口元のトレーニング
- 発音のトレーニング
- 水を飲み込むトレーニング
プレオルソは個々の歯を直接動かすのではなく、成長期のお子さんの顎の骨の成長や筋肉のバランスを整える「予防矯正治療」にあたります。
もちろん小児マウスピース矯正装置のプレオルソだけでも、歯並びが改善される場合も多くあります。
しかし、「予防矯正」終了後、歯並びがまだ気になる場合は、永久歯が生えそろってからの実際にここの歯を動かしていく、歯列矯正である「2期治療」が必要になる場合があります。
治療期間は長くなりますが、成長期に顎の骨の形や筋肉のバランスを整えておくと歯を動かす際にとてもスムーズにいきます。
「きれいな歯並びは最高のプレゼント」と言います。
ぜひお子さんの歯並びをよく見てあげてください。
プレオルソの注意事項
- 大半は寝ているときにつけて頂きますが、日中の使用時間がとても大事です。できたら1〜2時間以上しっかりとつけるように心がけましょう。
- プレオルソを使用する前には、必ず歯磨きをして、お口の中を清潔にしてください。虫歯の原因になります。
- プレオルソの使いはじめは、歯が出ている部分に強く当たり、少し痛みが出る事があります。その場合は、使用時間を少し減らして徐々に慣れていき、、痛みが無くなってきたら使用の時間を長くしていきましょう。
- 装置が歯や歯ぐきに当たって強い痛みがある場合は、使用を控えていただき、一度歯科医院にご連絡ください。
- プレオルソの使用時はお口が開きやすくなりますが、唇に力を入れてしっかりとお口を閉じ、お鼻で呼吸するよう心がけましょう。
- プレオルソをお口に入れたまま、力を入れて横にギリギリと咬まないように注意しましょう。
- お口の中にプレオルソがある状態では、たくさん唾液が出る状態になります。慣れないうちは唾液を吐き出していただいても構いませんが、慣れてくると装置をお口に入れたままで唾液を飲み込むよう練習をして下さい。お口の筋肉のトレーニングになります。
- お口の中にプレオルソを入れた状態で、会話ができるよう練習してください。これも、お口の筋肉のトレーニングにつながります。
- プレオルソを装着したまま寝ましょう。
- 睡眠中に装置がお口から出るようなら、唇にテープを貼って、お口が開かないようにして寝ましょう。
- プレオルソは1日1回、食器用の中性洗剤を用いて、歯ブラシで丁寧に磨きましょう。
- 週に1回くらいは、入れ歯洗浄剤や4倍ほどに薄めた哺乳瓶用の除菌液に浸けて消毒しましょう。
- 歯磨き粉をつけての清掃や、熱湯による消毒は、プレオルソが傷付いたり変形する原因になるため、やめましょう。
- プレオルソは定期検診などでご来院の際は、必ずお持ちください。
プレオルソは1本1本の歯に力を加えて動かしているわけではありません。
頬や唇の筋力をトレーニングする効果や、舌の位置を正しい位置に持っていける役割、歯の位置が悪い歯は正しい位置に誘導するような役割、顎の位置が悪い場合は正しい位置になるようにする役割などがあります。
例えるなら、「成長中のスイカを四角い箱に入れると四角いスイカになる」のと同じで、「キレイな歯並びになるようなマウスピースをつけておくことで、キレイな歯並びへと誘導する」ことで歯をきれいに並べたり、顎のズレなどを解消していきます。
しかし、プレオルソだけでは、個々の歯の並びや傾きまではコントロールできないため、もしプレオルソによる矯正治療が終わった後、歯の並びが気になる場合は、歯のワイヤーを付けたり、インビザライン 矯正(マウスピース矯正)で歯を動かす矯正治療が必要になる場合があります。
ただ、プレオルソによって顎の位置のズレが正しくなっていたり、顎の大きさがきちんと健全に成長ができていれば、少し歯を動かすだけなので、体への負担も少なく、比較的に短期間で矯正を終えられる場合があります。
きれいな歯並びにしてあげるのは、親から子供への最高のプレゼントだと思います。
子供の歯並びや噛み合わせが気になる方は、是非一度ご相談ください。