
お子さんの歯並びや噛み合わせで気になることはありませんでしょうか?
矯正治療が必要だと思われる場合、多くの場合は歯並びがガタガタしていたり、歯が前に出ていて出っ歯が気になることが多いと思います。
事実、そういった悩みがある割合は多いですが、矯正治療が必要な歯並び、噛み合わせには様々なパターンがあります。歯並びや顎の位置関係が悪く、上下のかみ合わせが正常でないことを不正咬合と言います。不正咬合には様々な種類があるので、チェックしてみてください。
どうして咬み合わせや歯並びが悪くなるのでしょうか?
咬み合わせ・歯並びが悪くなる原因は様々ですが、大きく分けて「遺伝的要因」と「環境的要因」があります。
遺伝的要因というのは、「生まれつきあごの骨が小さい」「生えてきた歯が大きい」などの原因のことです。
環境的要因というのは、お口のまわりの筋肉の機能が弱い、指しゃぶりや頬杖をよくしている、いつも口がぽかんと開いている(口呼吸)、舌を前に出す癖がある(舌突出癖)、食事をあまり咬まずに食べる、姿勢が悪いなどの日頃からの癖や生活習慣が原因となるものです。
これら様々な原因が合わさって、咬み合わせ・歯並びが乱れてしまいます。
子どもの歯並びが悪いと
むし歯や歯周病になりやすくなる
歯が重なることで歯みがきがやりにくくなり、むし歯や歯周病になりやすくなります。
顔の成長に影響を与える
まっすぐよく噛むことで、あごの骨は健全に成長します。口呼吸をしていたり、歯の並びが悪いと、あごの骨がうまく成長せず、顔つきにまで悪い影響を与えます。
口臭がしやすくなる
歯並びが悪く、口呼吸をしていると口の中が乾燥し、口臭が生じる原因になります。
風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすい
あごの成長がしっかりと行われないと、鼻腔もしっかりと発達しないため、鼻呼吸がしにくくなり、口呼吸になってしまいます。口呼吸だと、細菌やウイルスが直接喉に運ばれるため、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。
集中力が低くなったり、姿勢が悪くなる
あごの成長がしっかりと行われないと、呼吸による空気の取り込み量が少なくなり、脳に酸素が行き渡らず、ぼーっとして集中力がなくなり、学力にも影響が出ることがあります。
また、無意識に、がんばって空気を取り込もうとすることで、前傾姿勢になり、猫背などの悪い姿勢になりやすくなります。
矯正治療はいつから始めるのか
「子どもの矯正治療はいつから始めたらいいか?」
「矯正治療は大人の歯が全部生えてからするものなのか?」
「周りの子たちで矯正を始めている子もいるが、自分の子もした方がいいのか?」
と疑問に待たれる方は多いと思います。
矯正治療は一概に何歳からした方がいいと言えるものではありません。成長度合いや、歯やあごの状態はそれぞれ違うからです。
矯正を始める時期の一つの目安として、
- 受け口(上の歯より下の歯が前に出ている)がある、3歳児検診で受け口だと指摘された
- 学校の検診で不正咬合だと指摘された
- 大人の歯が足りない(生まれつき永久歯が足りない)と指摘された
- 前歯が生え変わってきたものの、かみ合わせが反対になっている(小学1年生前後)
- 小学生になったが指しゃぶりなどのくせが残っている
- 犬歯が生えてくるスペースが無いように見える(小学3、4年生)
- 全ての永久歯が生え揃ったものの、歯並びが気になる(中学1年生前後)
などを一つの目安とすると良いでしょう。
早期に矯正の必要性がわかるよう、定期的に歯科検診を受けられることをおすすめします。
成長過程だからこそできる小児のための矯正
小児の矯正は、あごの骨の成長を促しバランスや大きさを整える1期治療(骨格矯正)と成長したあごに合わせて歯の位置を整える2期治療(歯列矯正)からなる2段階治療です。
1期治療は、あごの骨がまだ柔らかく、これから成長していく子どもだからできる治療です。
大人の歯が生えそろってから矯正治療が必要となる場合、多くがあごの骨の成長不足や、上下のあごの位置関係が悪いことが原因です。歯が並ぶスペースがない場合、歯を抜いて矯正する場合が多くなります。
しかし、子どものうちに、あごの骨のバランスや大きさを整えることで、なるべく大人の歯を抜かないで歯並びを整えることができます。
さらに、1期治療であごの骨を整え大人の歯がきちんと並ぶ土台ができるため、2期治療そのものが必要ない場合もあります。
2期治療になった場合でも、あごの骨がしっかり成長していると、あとは歯を動かすだけなのでスムーズに行く場合がほとんどです。
小児矯正をするメリット・デメリット
- メリット
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- あごの成長発育をコントロールできる。
- ワイヤーを使わないのでむし歯になりにくい。
- 将来的に抜歯や骨を削る手術を受けなくて良くなる場合が多い。
- 出っ歯や受け口など、歯並びや噛み合わせを改善できる。
- 正しく食べられる、正しく話せるようになる。
- 費用が安くすむ。
- 全身の健全な発育にもつながる
- デメリット
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- 取り外しの装置は、きちんと矯正力がかかるかどうかは、子どもに依存する部分が大きく、非協力的な場合はうまく矯正が進まないことがある。
- 成長に伴い、再度歯を動かす矯正が必要になる場合がある。(ただしあごの骨が適切に成長しているとその後の矯正治療はスムーズにいく)
- 両親の協力も必要になる