歯を失った場合の治療法について

治療の一環として、予防のために歯を抜くといった場合はそこに歯を入れる必要はありません。
例えば、矯正治療で歯が並ぶスペース歯が少ないため歯を抜く、生える位置が悪く虫歯や歯周病にならないために親知らずを抜くといった場合です。

しかし、何か悪い原因があって歯を抜く場合は、本来は歯があるべきところに、歯がなくなってしまうため、抜いた後は歯を補ってあげる必要があります。

虫歯で歯がボロボロになった、歯周病で歯の周りの骨が溶けぐらぐらになってしまった、歯ぎしりや食いしばりで歯にヒビが入ってしまった、など歯を抜く原因は様々です。

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もし歯を失ったまま放置をすればどうなるのか?

短い期間で見れば、歯が1本や2本歯抜けたとしても、そこまで生活に支障は出ないと思います。
しかし、長い間歯がない状態を放置しておいた場合、抜いた歯の周り歯の位置が少しづつ移動し、歯並びや噛み合わせが悪くなってしまう恐れがあります。

そうなると、見た目が悪いだけでなく、ものがうまく噛めない、お口が開けにくい、顎が痛くなってきたといった症状に変わることがあります。

抜けた歯の周りの歯に負担がのしかかるため、噛む力が強かったり歯ぎしりがある場合、負担がかかることで周りの歯が割れたり、歯周病が進んだりするリスクがあります。

歯に関して重要なことは、「咀嚼」の機能です。

咀嚼とは、食べのもを見て認識し、口に運び、それを歯でしっかりと噛み、すりつぶして唾液と混ぜ、食塊とし、それを飲み込んで胃まで運ぶ一連の動作の過程です。

歯を失ってしまうと咀嚼機能が低下し、よく噛むことができなくなります。
あまり噛まないことで、脳へ伝わる刺激が少なくなり、認知症のリスクも上がると言われています。

また、食べられるものが限られて栄養が偏ることで、高血圧や糖尿病、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクも上がります。
消化器や呼吸器の入口であるお口の健康は、全身への健康へとつながっています。

お口は食べたり、飲んだり、話したりといった多くの機能をつかさどっており、生活の質に深く関係しております。
ですので、歯がなくなった部分には早めに次の歯を入れる必要があります。

歯を抜いて放置したままだと。。。

歯を抜いた、あるいはグラグラして自然に歯が抜けたまま放置をしている方はいらっしゃいませんか?

  • 「虫歯で歯がボロボロで歯を抜いた」
  • 「歯周病で顎の骨が溶け、グラグラして噛めないので抜いた」
  • 「根っこが膿んでいて、治らないため抜いた」
  • 「歯にヒビが入って、あるいは割れてしまって抜いた」
  • 「永久歯が生えず、長年残っていた乳歯が抜けた」

歯を抜いて放置したままだと。。。人によって歯を抜く理由は様々ですし、個々の歯によっても色々な原因で抜かなくてはいけなくなる場合があります。
歯を抜くのは嫌でしょうし、残念だと思いますが、そのままだとお口や全身に悪影響が出てしまう場合は、早めに抜かなくてはいけません。

そして、矯正治療のため歯を抜いたり、一番奥に生えてきた親知らずを抜いた場合は別として、歯を抜いた部分には新しく歯を入れなくてはなりません。

たまにこういう方がいらっしゃいます。

「歯がないけど、噛むのに困っていないから放置している」
「抜いたタイミングで歯医者にいけなくなりそのままの状態だ」

短期的に見れば、1本2本歯が抜けても、そこまで生活に支障はきたさないと思います。

しかし、長期間歯がない状態が続くと、他の歯の位置が変わってきたりして、歯並びや噛み合わせがずれることで、ものがうまく噛めない、顎が痛くなってきた、お口が開けにくいと入った症状に変わることがあります。

前歯あたりだと歯がないことで見た目も悪くなります。
また食べにくいことで、栄養が偏ったり、認知症のリスクもあがると言われています。

ですので、歯がなくなった部分には早めに次の歯を入れる必要があります。

歯を抜けたまま放置した場合のリスク

機能面

  • 抜けた歯と咬み合っていた歯が抜けた歯のスペースに伸びて出てくる(対合歯の挺出)
  • 抜けた歯の両隣の歯が抜けた歯のスペースに動き、傾いてくる(隣接歯の傾斜)
  • 歯の位置が変わることで、咬み合わせがおかしくなる、顎が痛くなる(咬合の不調和・顎関節症)。

審美面

  • 歯が抜けたままであることによって見た目が悪くなる
  • 歯の骨が溶けることによって、歯ぐきの位置が下がってくる
  • 顔の輪郭が変化してくる。

生活面

  • きちんと咬めないことで胃腸に負担がかかる(咀嚼障害による胃腸への負担)
  • 栄養が偏ることで糖尿病や高血圧のリスクが上がる
  • 空気がもれて上手く発音が出来なくなる
  • 脳への刺激減少する(認知症になるリスク大)。

たかが1本2本とはいえ、歯はとても大事です。
歯を失った場合は、今後の体への影響も考え、担当の先生と相談し、最適な治療により歯を入れるようにしましょう。

歯を失った場合に、どのようにして歯を入れる、補うのか

歯を失った場所や、本数、その方のお口や全身の状態にもよるのですが、大きく分けて3つあります。

  • インプラント
  • ブリッジ
  • 入れ歯

みなさんも名前は聞いたことがあるかもしれませんね。
では、それぞれの治療法の特徴やメリット、デメリットについて説明していきます。

インプラント

インプラント歯茎の下にある顎の骨に、手術によって、人工歯根(インプラント)を埋め込み、その上に人工の歯を固定して噛めるようになります。

メリット
  • 自分の歯と同じように噛める
  • 両隣の歯を削る必要がない
  • 他の歯に負担をかけない
  • 審美性にすぐれている
  • 固定式で違和感が少ない
デメリット
  • 手術の必要がある
  • 保険外治療になるため費用がかかる
  • 治療期間が長い (6ヶ月〜1年はかかることが多い)
  • 骨や全身の状態によってはできない場合がある
  • タバコを吸う人にはおすすめできない

ブリッジ

ブリッジ歯のない部分の両隣の歯を削り、連結した歯の冠を被せます。
ブリッジとは英語で「橋」を意味するので、歯と歯に橋渡しをするイメージです。

メリット
  • 治療期間が短くてすむ (2〜3ヶ月)
  • 固定式で違和感が少ない
  • 銀歯なら保険で治療できる
  • 審美性にすぐれた素材を使用できる (保険外治療)
デメリット
  • 両隣の歯を土台とするため、虫歯でない健康な歯を削る必要がある
  • 両隣の歯に負担がかかる
    (歯の状態によっては、将来歯が割れるリスクがある)
  • 土台となる歯の状態によってできない場合がある
    (虫歯が大きかったり、歯周病で骨が少なくグラグラしている場合など)
  • 被せがつながっており、フロスが通らないため、手入れがしにくい

入れ歯

入れ歯歯のない部分に取り外しのできる入れ歯を作製します。
歯茎を補うピンク色の床の部分、人工の歯、安定させるための金属のはり金からなります。

メリット
  • 治療期間が短くてすむ (2〜3ヶ月)
  • 健全な歯を削る必要がほとんどない
    (針金がかかる所を少し削る場合はある)
  • 保険で治療できる
  • 取り外して清掃ができる
  • 薄い金属の床で作る入れ歯は違和感が少ない
    (保険外治療)
デメリット
  • 大きい場合は異物感がある
  • 噛む力は、天然の歯と比べ30%以下と言われている
  • 針金が見える場合、審美性に劣る
  • 取り外しの必要がある
  • 将来歯ぐきがやせていく

よく「インプラント」と「ブリッジ」はどちらが良いのかと質問を受けます。
もし歯がない部分の前後の歯が削られていない健康な歯でしたら、やはりインプラントをお勧めします。

費用的に抑えたいという場合は仕方がありませんが、「ブリッジ」の場合は前後の歯を大きく削る必要があります。
一度削った歯は元に戻らないですし、トラブルが起きやすくなります。

「どちらが長持ちしますか?」という質問もよく聞かれますが、長年のデータではインプラントの方が長持ちをすることがわかっております。(ただし1本歯を失った場合)

「ブリッジ」の場合、前後の歯が神経が残っている歯で、歯並びもきれいな場合は、10年後の持ちはそこまで変わりません。

しかし、神経を抜いた歯を用いたブリッジは、感覚がなく虫歯になっていても気がつかないですし、1本に掛かる負担が大きく、歯が割れるなどのトラブルが生じやすいです。

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