乳歯から永久歯へ生え変わりの際に、よくあること、保護者の方が気になること、についてご案内します。
乳歯は、大体生後6ヶ月くらいから下の前歯が生えはじめ、2歳半〜3歳になる頃には、合計20本の歯が生えそろいます。
(乳中切歯、乳側切歯、乳犬歯、第1乳臼歯、第2乳臼歯の5本がそれぞれ右上、右下、左上、左下の4カ所)
しばらくは生え変わったり、新しい歯が生えることはなく、この20本のままで成長していきます。
そして、小学校に入るの6歳前後から、大人の歯が生えてくることになります。
最初に生えるのは、乳歯の奥歯のさらに奥から「6歳臼歯」が一般的です。
この「6歳臼歯」(=「第1大臼歯」)は、乳歯が抜けて生え変わるわけではないので、奥の歯がない歯ぐきから少しずつ頭が出て生えはじめます。
ちょうど「6歳臼歯」「第1大臼歯」が生えはじめた頃から、下の前歯の乳歯(乳中切歯)がグラグラしてくると思います。永久歯の前歯(中切歯)が乳中切歯の下から、乳歯の根っこを溶かしながら徐々に出てきます。
永久歯が出てくるに従って、乳歯のグラグラは大きくなっていきます。
歯がグラグラするため、場合によっては食べるときや歯みがきの時に当たって痛むことがあります。
また、見かけでも、グラグラの乳歯は暗く、黒っぽく色が変わってくることがありますが、これは根っこが溶けてきて、歯の中で血液が固まった色が透けて見えているだけなので問題ありません。
今まであった歯がグラグラしてくると、痛くないだろうか、きちんと永久歯が生えてくるだろうか、など色々な不安が生じてくると思います。
そんな歯の生え変わりの際に、みなさんがよく気になるいくつかポイントがありますのでまとめてみました。
小さいお子さんがいらっしゃる方は、ぜひご参考ください。
乳歯の生え変わりの時のポイント
乳歯がグラグラしているのに、なかなか抜けない場合
グラグラしてきているのであれば、乳歯の真下から永久歯が出てきて、きちんと乳歯の根っこが吸収され、永久歯が出てこようとしているので、しばらく様子をみましょう。
3ヶ月くらい経っても抜けない、グラグラしている歯が食事や歯磨きの時に痛いというようであれば、一度歯科医院にご相談ください。
乳歯が残っているのに、永久歯が生えてきている場合
顎の骨の成長が小さく、永久歯が並ぶスペースがないため、乳歯の裏側や横から永久歯が生えてくることがあります。
永久歯が見えてくるとともに、乳歯がグラグラしてきているなら、自然に抜ける場合がありますので、しばらく様子をみましょう。痛みを訴えるようになったり、乳歯と永久歯の間に食べ物がよく挟まるようでしたら、早期に抜いた方がいいため、歯科医院にご連絡ください。
また、永久歯が生えてきているのに、乳歯が全く揺れていない、グラグラしていない場合、永久歯が生える位置が悪く、乳歯の根っこがきちんと吸収されていない可能性があるため、早めに歯科医院にご相談ください。
乳歯が抜けたのに永久歯が全然生えてこない場合
この場合、保護者の方も心配になると思います。
「上の子は乳歯が抜けた後、すぐに永久歯が生えてきたのに」「反対の歯は乳歯が抜けた下から、すぐに永久歯が出てきたのに」と兄弟や、反対の歯の生え変わりに問題がなくても、その乳歯だけ抜けた後、永久歯がなかなか生えてこない、ということがあります。
この場合は、基本的にはしばらく経過を見ます。
もし半年経っても、永久歯が出てこない場合は、歯科医院に相談しましょう。生える方向や位置がおかしく、顎の骨の中でひっかかって出てこない、あるいは遺伝的・先天的にその部分の永久歯が無い、という可能性が考えられるため、レントゲンをとって確認する必要があります。
生えてきた永久歯がギザギザしている
乳歯が抜けて、新しく生えてきた前歯の永久歯は、先端がギザギザしていると思います。これは形態の異常ではなく、元々の自然な歯の形になります。上も下も永久歯が生え、日々食事や会話などで歯の先端同士がぶつかり合うことで、丸みを帯びていきます。
ある程度期間が経っても前歯の先がギザギザしている、大人になってもギザギザのままだという方は、前歯がきちんと噛んでおらず、噛み合わせが悪いことが考えられます。
その場合、奥歯の負担が大きく、知覚過敏や歯周病の進行、歯が割れる原因になるため、早めの矯正治療が望ましいです。
乳歯の生え変わりには個人差があったり、その歯によっても差が出ることがあります。
他の子と比べて生え変わりが早かったり、遅かったり、また生え変わりがうまくいかずに不安になることがあると思います。
しかし、痛みがある場合を除いて、気長に見守ってあげてください。
成長と同じで、その子のスピードがあるので温かく見守ってあげましょう。
もし不安がある場合は、お口の中の状態を確認したり、レントゲン写真を撮って診断しますので、是非一度ご相談ください。
グラグラしている乳歯が抜けない時は・・・
お子さんの乳歯が、永久歯への生え変わりでグラグラしている、けれどもなかなか抜けなくてたまに痛いと言っている。
そんな経験はないでしょうか?
小学生になる前後の6歳ころ、まずは乳歯の奥歯のさらに奥から「6歳臼歯」と呼ばれる、大きな永久歯が生えはじめます。
「6歳臼歯」(=「第1大臼歯」)は、乳歯からの生え変わりではありませんので、歯がない歯茎から徐々に頭を出して生えはじめます。
ちょうど「6歳臼歯」「第1大臼歯」が生えはじめた頃から、通常下の乳歯の前歯(乳前歯)がグラグラしてきます。
乳歯の下から、永久歯が出てこようとしており、顎の中に埋まっている乳歯の根っこを溶かしながら、徐々に出てきます。
根っこが溶かされていくと、乳歯はグラグラするようになり、場合によってはグラグラするため、食事や歯ブラシの時に痛むこともあります。
また、外見上、グラグラの乳歯は赤黒く変色することがありますが、これは根っこが溶けていく段階で、歯の中の血液が固まって透けて見えているだけなので問題ありません。
乳歯の根っこが吸収されていき、グラグラしはじめると、通常2〜3ヶ月くらいで自然に抜けます。
しかし、グラグラはしてきているがなかなか抜けない、反対の歯はすぐに抜けたのに今回の歯は長い間抜けない、といった場合もあります。
生え変わって出てくる永久歯が乳歯の真下から生えてきている場合は、きちんと乳歯の根っこを溶かし、徐々に永久歯が生えてくるに従い、乳歯は自然に抜けることが多いです。
なかなか抜けなかったとしても、痛みのない場合は様子を見ると良いでしょう。
食事中に噛んで痛かったり、歯ブラシが当たって痛い場合は、歯科医院に相談してみて、場合によっては抜いた方がいいかもしれません。
グラグラの場合は、骨にはくっついておらず、歯ぐきにだけわずかにくっついているだけのことが多いため、注射の麻酔はしなくても、歯ぐきに塗る表面麻酔だけで抜けることが多いです。
また、抜いた後も痛みはほとんどないので、痛み止めを飲んだりする必要はほとんどありません。
しかし、永久歯が乳歯から少しずれて出てきている場合、特に下の前歯の場合、あごの骨が小さくスペースが少ない場合、乳歯の裏側から永久歯が生えてくることがあり、その場合はあまり乳歯がグラグラしなかったり、グラグラしても乳歯がなかなか抜けない場合があります。
そうなると歯磨きがしにくく生えたばかりの永久歯が虫歯になりやすかったり、歯並びが悪く原因になるため、乳歯と永久歯が両方とも生えている場合は、一度歯科医院でみてもらうと良いでしょう。
場合によっては、しっかりと麻酔をして、抜けない乳歯を抜かないといけないかもしれません。
まとめると・・・
- 乳歯がグラグラしてきている場合は、あまり触ったりせずにいったん自然に抜けるのを待ちます。
- 乳歯がグラグラしてきてもなかなか抜けず、食事や歯ブラシの時に痛い場合は抜いた方がいい場合もあります。
- 永久歯が後ろや横から生えてきているが、乳歯はあまり揺れていない場合、歯科医院を受診しましょう。
(骨格が小さく、きちんと永久歯が生えるスペースがなく、矯正治療が必要かもしれません)
6歳くらいから12歳くらいまでの乳歯の生え変わりの時期は、日に日にお口の状態が変わるといっても過言ではありません。
定期検診で見ていても、3ヶ月の間に一気に3本くらい歯が抜けた、なんてことはよくあります。
できたら保護者の方も仕上げ磨きのついでに、お子さんの歯の状態をよく確認し、生え変わりがうまくできていない歯はないか、変なところから永久歯が生えてきていないか、よく確認するようにしましょう。
グラグラしてもなかなか乳歯が抜けない場合は、気になってお子さんがその歯やお口をよく触ることがあるので、それも一つのチェックポイントです。
少しでも、お子さんのお口の中で気になることがあれば、気軽にご相談ください。