「ドライマウス」という言葉を聞いたことがありますか?
目が乾燥する、目がしぱしぱする「ドライアイ」は聞いたことがあるかもしれません。
「ドライマウス」とは唾液量が減ることで、お口の中が乾燥してしまう状態のことで、「口腔乾燥症」とも言われます。
では、なぜ唾液の量が減ってしまうのか、ドライマウスになるとどういう症状が出るのか、についてお話しさせていただきます。
舌や頬、唇などにある唾液腺から、1日に約1.5リットルの唾液が分泌されると言われます。
唾液は、ただの水分ではなく、多くの役割を持った「魔法の水」ともいえるものです。
その唾液の量が減少し、ドライマウス(口腔乾燥症)になると、お口の中に様々なトラブルが発生します。
ではまず、唾液が減る原因についてお話しさせていただきます。
唾液が減る原因としては、一つとは限らず、様々な可能性が考えられます。
以下にまとめましたので、心当たりがないかチェックしてみてください。
唾液が減る原因
1口呼吸をしている
鼻呼吸ではなく、口呼吸をしている方は、お口が開きっぱなしになり、口が乾燥しやすくなります。
2加齢による筋力の低下
加齢によりお口周りの筋力が低下してくると、唾液の量が減っていきます。また、噛む筋肉の衰えにより、噛む回数が減ってくることでも、唾液の量は減少します。加えて、全身の筋力の低下により、腰が曲がったり猫背になってくると、顎が開きやすくお口で呼吸することが多くなり、唾液の減少の原因になります。
3柔らかいものをよく食べる
固さがあったり、繊維質の物を食べる時は、しっかりと噛むことで、唾液の分泌が促されます。しかし、あまり噛まなくても飲み込める物をよく食べている方は、唾液線が退化して唾液の量が少なくなってしまいます。
4辛いものや味の濃い物をよく食べる
辛いものや味の濃いものがお口の中に入ると、それを薄めるために、水分が多く使われます。きちんと水分補給をしていればいいのですが、あまり水分を取らなかったり、頻繁に辛いものや味の濃い物を好まれる方は、体の水分量が減り、唾液の量も減る可能性があります。
5アルコールをよく飲む
アルコールを飲んだ後は、体からアルコールを排出するために、尿や汗を多く出そうとする利尿作用が働き、軽い脱水状態になることがあります。そのため、日常的にアルコールをよく飲む方は、体内の水分が足りていないことが多く、唾液の分泌が減少してしまうことがあります。
6タバコを吸っている
喫煙をしている方は、やはり唾液の量が減少します。
7緊張や不安になりやすい、精神的なストレスが多い
リラックスしているときは副交感神経が働き、唾液が出やすい状態ですが、唾液が出やすく、緊張したり不安になることが多かったり、精神的にストレスがたまった状態では、交感神経が働くため、唾液が出にくく、お口が乾きやすくなります。一時的なものでしたら、時間と共に唾液が分泌されて解消されますが、日常的に続くと唾液自体が出にくくなります。
8薬の副作用
薬の副作用の中には、唾液減少によるドライマウスを引き起こすものがあります。痛みを抑える鎮痛剤やアレルギー・花粉症を抑える抗ヒスタミン薬、抗うつ薬や向精神薬、降圧薬や高血圧やむくみを抑える利尿薬など、唾液を減少させてしまう薬は数多く存在します。高齢になると、加齢による唾液減少もありますが、疾患に対するお薬の副作用も重なることが多いです。
9シェーグレン症候群などの唾液が減る病気
体を守るための免疫系の異常によって起こる、膠原(こうげん)病の一種です。お口以外にも目や皮膚など、他の部位にも乾燥がみられます。発症するのはほとんどが女性で、発症は40〜60歳代に多く見られます。関節リウマチなどの他の膠原病も合併する場合があります。
10ホルモンバランスの変化
唾液の分泌量は女性ホルモンの影響により変化しやすいです。そのため、妊娠をされたり、閉経によりホルモンバランスが乱れたりすると、唾液の分泌量が減少し、ドライマウスになることがあります。
どうでしょうか?
食べ物や年齢的な原因以外にも、唾液が減る病気や、飲んでいる薬の副作用でも唾液が少なくなってしまうことがあります。
では、唾液が少なくドライマウス(口腔乾燥症)になると、どのような症状が現れるか、ご紹介させていただきます。
ドライマウス(口腔乾燥症)で起こる症状
お口の中の唾液の量が減ってしまう、ドライマウス(口腔乾燥症)。
大事な役割が多くある唾液が減ってきてしまうと、お口の中に様々なトラブルが生じる原因になってしまいます。
お口の唾液が減ってしまうと、以下のような数多くのトラブルが起こり可能性があります。
- 口、のどが乾きやすくなる
- 口の中がネバネバするようになる
- 虫歯になりやすくなる
- 舌がヒリヒリするようになる
- 舌がひび割れることがある
- 舌がもつれて話しにくくなる
- 以前より食べ物を飲み込みにくくなる
- 口臭がするようになる
- 食べ物、飲み物がおいしく感じなくなる、味がわかりにくくなる
唾液はお口にとって、欠かせないもの。
その唾液が少なくなってくることで、お口の中に様々なトラブルが生じます。
「歯磨きをしているのに、虫歯になりやすい。」
「最近、舌が痛いことがある。」
「食事がしにくく、味も感じにくくなった。」
原因がわからない症状も、実はドライマウス(口腔乾燥症)が原因かもしれません。
気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
ドライマウス(口腔乾燥症)の予防法・対処法
ドライマウス(口腔乾燥症)にならないためにも、日頃からできる予防法、また唾液が減ってきた場合の対処法についてまとめてみましたので、ぜひご参考にしてください。
部屋の湿度に気をつける
夏場にエアコンをつけっぱなしにしていたり、冬場はお部屋の中が乾燥しやすいです。乾燥していると、口呼吸をしやすくなるため、換気を行ったり、加湿器などを用いて、あ部屋が乾燥しないように気をつけましょう。
こまめに水分補給をする
体全体の水分が少なくなると、必然的に唾液が少なくなるため、こまめに水分をとるようにしましょう。こまめに取る場合は、お水やお茶などの糖分が入っていない物を取るようにしましょう。
お酒の量を控える
アルコールを摂取すると、利尿作用が働き、体から水分が失われます。そのため、唾液の量も減ってしまうことがあります。アルコールは適度な量にし、なるべくお水も補給するようにしましょう。
硬い食べ物をしっかりと噛んで食事をする
よく噛むことで、唾液腺が刺激され、唾液がたくさん分泌されます。柔らかい物をよく食べたり、あまり噛まずにお水や味噌汁などで流し込む食べ方をしていると、唾液が減る原因になります。また、柔らかいものは糖分が多いことが多く、虫歯や糖尿病にもなりやすいです。なるべく固くて栄養のある食材を選び、しっかりと噛んで食べるようにしましょう。
ストレスを溜めないようにする
ストレスがたまると、自律神経が乱れ、交感神経がよく働くようになり、唾液が減少する原因になります。なるべくストレスがたまらないよう、きちんとした睡眠をとったり、ゆっくりとお風呂に使ったり、趣味の時間をとりリフレッシュするようにしましょう。心が落ち着いていると、副交感神経がよく働き、唾液が出やすくなります。
ガムをかむ
ガムを噛むことで、唾液腺が刺激され、唾液が良く出るようになり、お口の乾燥を防ぐことができます。
お口のストレッチ、唾液腺マッサージなどを行う
大きくお口を開ける練習をしたり、口角を上げる練習をしたり、ベロを前に出してグルグル回したり、「あいうべ体操」などを行うことで、唾液腺が刺激され、唾液の量が増えます。また、耳の下にある耳下腺や顎と首の間にある顎下腺などの大きな唾液腺を、指で触ってマッサージしてあげることで、かなりの唾液が出るようになります。
全身のお病気がある場合は、医科を受診する
唾液が少なくなる、シェーグレン症候群や糖尿病などがある場合は、まずそちらの治療を行う必要があります。かかりつけの医科を受診するようにしましょう。
意外と簡単に、日常からできるものもありますし、少し生活習慣に気をつけるだけで、ドライマウスを防げる方法もあります。
他にも、よくうがいをしたり、人工唾液を用いる方法があります。
唾液の減少は、様々なトラブルの原因になりますので、少しでも気になる方は、ぜひご相談ください。