小児歯科ブログ

2024.01.26

赤ちゃん時期の食器の共有における新しい見解

赤ちゃん時期の食器の共有における新しい見解「離乳食が始まる赤ちゃんの時期に、お父さんやお母さんと同じ箸やスプーン、フォークやコップなどを使うと虫歯菌が移る」
という情報はご存知でしょうか?

近年よく言われるようになり、子を持つ親御さんでしたら、一度はメディアや雑誌、SNSなどで見たことがあるのではないでしょうか?
「食器を共有しないことが、赤ちゃんの虫歯予防につながる」というのはもはや常識、当たり前のようになっておりますが、実はこれには科学的な根拠がそこまでないのです。

むしろ親の唾液に触れることで、子どものアレルギーを予防する可能性があるという研究内容が報道され話題になりました。
アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患について、生後12カ月未満の乳幼児期に親の唾液に接触していた子どもの方が、学齢期(6~15歳)の発症リスクが抑えられる可能性があることが分かったとのことです。
それに加えて、虫歯の原因菌であるミュータンスレンサ球菌は、親の唾液から子どもに感染するリスクが高いと報道されていました。

そこで、昨年、一般社団法人日本口腔衛生学会が出した声明を踏まえ、現時点である程度わかっている情報をまとめてみました。

「親からのむし歯菌の感染は食器の共有前から始まっている」

最近の研究では、生後4か月の赤ちゃんのお口の中には、すでにお母さんの口腔細菌が存在していることが確認されています。
離乳食の開始時期は生後5〜6か月頃から始まりますが、その時にスプーンやコップなどの食器を使用する以前から、親から子どもに口腔細菌は感染していることになります。

日々のスキンシップの中で顔を近づけたり話しかけるのとで親の唾液に少なからず接触します。その時すでに感染は生じているので、食器の共有を避けることで虫歯予防になると気にしすぎる必要はないのではと思われます。

親からのむし歯菌の感染は食器の共有前から始まっているもちろん親の虫歯菌や歯周病菌などの口腔細菌は少ない方が良いと思われるので、親御さんはきちんと虫歯治療や定期検診、クリーニングを受けるようにしましょう。
もちろん、赤ちゃんにたっぷり愛情を注ぐよう、スキンシップを止める必要はありません。

「食器の共有に気を付けていても、子どもの虫歯に差はなかった」

虫歯菌の量や歯磨きの精度、糖質の摂取頻度など様々な要因が混ざり合うことで、虫歯は生じます。
虫歯に関連する色々の要因を踏まえて研究した結果では、3歳児において親との食器共有とむし歯との関連性は認められなかったそうです。

「子どもの虫歯予防のために」

毎日のスキンシップの中で、唾液を介して親の口腔細菌がお子さんに感染するのは防ぎようがないとも言えるでしょう。
なので、お子さんの虫歯予防に関しては従来の方法で問題ないのかなと思われます。

  • 仕上げ磨きをきちんと行い、虫歯菌の量を減らす
  • 虫歯菌の餌となる糖質の摂取量・頻度を控える
  • フッ化物を使用する

推奨させるフッ化物濃度も最近では1,000ppm〜が推奨されているので、歯磨き粉・歯磨きジェルを選ぶ際の参考にしてみてください。
虫歯にならないように、また虫歯になっても早期発見・治療ができるように歯科医院での定期検診も忘れないようにしましょう。

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