メタルフリーをおすすめします
メタルフリーという言葉をご存知でしょうか?
アクセサリーなどと違い、お口の中の銀歯は毎日のように取り外しできないため、体によくない銀歯をお口の中から無くそうというものです。
虫歯が大きく、詰め物や被せ物で治す際の銀歯とセラミックの違いについてご案内します。
近年、テレビを出ている方でセラミック治療で白い歯にされている方も多く、そうでなくてもセラミックという言葉は皆さん耳にしたことがあるとおもいます。
昔はそういった素材はまだまだ普及しておらず、虫歯が大きい場合の治療には、銀歯かアマルガム(歯科用水銀)、もしくは金歯で直すことが多かったと思います。
アマルガムは、今では使われておらず、私自身も使用したことがありません。
また、今のように子供への虫歯予防の概念が薄く、まだまだ子供の虫歯が多かった時代で、30〜40歳以上の方のは、お口の中に銀歯が入っている方が多いと思います。
歯の大切さも今ほど重要とは考えられていなかったのか、虫歯になれば削って銀歯で治したらいいと思っていた方も多いと思います。
私自身も子供の頃は、お菓子を食べ虫歯になり、良く歯医者さんへ通っていた記憶がありますし、歯医者になるまでは何本か銀歯の歯がありました。
しかし、時代の変化とともに、歯の大切さや虫歯予防の概念が浸透し、極力歯は残そうという考えが浸透してきました。
そして、歯を長持ちさせるためにも、できるだけ金属の詰め物や被せ物は使わないようにしようと歯科治療も変化してきました。
今回は、なぜ銀歯よりもセラミックによる治療の方がいいのか、「メタルフリー」のメリットについてお話しさせていただきます。
銀歯について
銀歯は、保険が効くため、部分的な詰め物は3,000円程度、全体を覆う被せ物は4,000円程度と比較的安く治療を受けることができます。
金属なのである程度の強度があり、割れることはほとんどありません。
しかし、今では銀歯は良くないことがわかってきたので、海外ではほとんど使用されておりません。また、ドイツやスウェーデンなどの一部の国では、銀歯の使用が禁止されています。
では、なぜ銀歯はあまり良くないのか、まずは銀歯の性質についてお話しさせていただきます。 銀歯は名前の通り銀だけでなく、様々な金属が混ぜ合わさってできています。
実は希少価値の高い金も約12%含まれております。 しかし、その他にも合金の融点を下げ、機械的性質・強度を大きく向上させるために銅が15%ほど含まれていますし、密度が小さく、経済的に安く合金の軽量化のためにパラジウムが20%ほど含まれています。(ただし近年パラジウムの価格がかなり上がっており、銀歯自体の値段も上がってきている)
その他にも多くの金属が含まれております。 銀は約50%ほどしか含まれていませんが、見た目が銀色なので銀歯と呼ぶことが多いです。
銀歯での治療の特徴
銀歯のメリット
- 保険治療でできる
- 噛む機能を回復することができる
- 強度、耐久性がある
銀歯のデメリット
- 金属アレルギーが生じる恐れがある
- メタルタトゥー(金属が溶け出し歯茎が黒くなる)が生じることがある
- 電気を帯びておりプラークが付着しやすい
- 熱により膨張、収縮が起こり接着剤が剥がれやすい
- 表面が傷つきやすい
などが挙げられます。
銀歯は保険が効きますので、比較的安価で強度もあるため、しっかり噛めるようになります しかし、あくまでも金属なので、お口の中にずっとさらせれていると、金属成分が溶け出て体内に侵入します。 金属成分が体内に入ることで、血管を通って全身をかけめぐり、お口以外の皮膚や粘膜に金属アレルギーを引き起こす原因になることがあります。
実際に、長年原因がわからなかった皮膚のアレルギーが、銀歯を取り除くことでみるみる改善した方も数多くいらっしゃいます。また、溶け出た金属イオンが歯ぐきに溶け込むと、歯ぐきが黒ずむメタルタトゥーの原因になります。
銀歯は電気を帯びているため、プラークを寄せ付けやすく、強固にくっつき歯ブラシでもなかなか取れないため、歯と銀歯の間から再び虫歯になりやすく、再治療になるケースが多いです。
熱いものを食べると膨張し、冷たいものを食べると収縮しやすいため、何度も膨張と収縮を繰り返すうちに、歯と付けるためのセメントとの間に隙間ができやすく、これも虫歯になりやすかったり、詰め物や被せが取れる原因になります。
セラミックについて
セラミックは陶器のような成分でできているため、見た目も白く透明感がある上に、非常に硬い素材です。金属は含まれていないため、金属アレルギーなどの体への悪影響はありません。
型取りも精密に取れる保険外のものを使用するため、歯との適合もほとんど隙間がなくかなり精密です。 歯とくっつける時のセメントとも相性が良く、もともとの歯のようにセラミックと歯が一体化します。もちろん金属は含まれていないため、金属アレルギーなどの体への悪影響はありません。 しかし、陶材でできているため、薄い部分に強い力が加わると、セラミックが欠けることがあります。
セラミックは保険外の治療になるため、4~7万くらいの費用がかかります。
セラミック治療の特徴
セラミックのメリット
- 見た目が天然の歯のように自然できれい
- 表面が滑沢で傷つきにくく、プラークも付着しにくい
- 咬合力によるたわみや熱による膨張、収縮がほとんど無いため、歯との間に隙間が生じにく安定している
- 接着剤自体も強度と接着性がとても高い保険外のものを用いるため、接着剤が壊れにくい
- アレルギー症状を起こすことがない
セラミックは非常に硬い陶器のような材料です。
ですので、長年使っていても傷がつきにくいですし、熱による変形もほとんどありません。
金属と違い、プラークも表面につきにくく、付着したプラークも歯ブラシで比較的簡単に除去できるため、清潔に保ちやすいです。
また、使用する接着剤は歯やセラミックとの馴染みが良く、かなり固いので、接着剤が劣化して詰め物や被せ物が外れたりすることも少ないです。
金属を含まないため、金属アレルギーが出る心配もありません。
ただしセラミックもメリットばかりではなく、デメリットもあります。
セラミックのデメリット
- 陶材のため、薄いところに力がかかると、部分的に割れることがある
- 強度を保つために、またきれいな色合いを再現するために、銀歯よりも厚みが必要となる(銀歯よりも少し深く歯を削る必要がある)
- 保険が適用できないため、治療費が銀歯よりもかかってしまう
セラミックの種類
被せ物(クラウン)
自費の被せ物
オールセラミックジルコニア
セラミックだけで作る被せ物で、自然で透明感のある色調が特徴です。
メリット
- 自然な見た目で透明感がある
- 吸水性がないので変色しにくい
- メタルフリーなので金属アレルギーの心配なし
- 体に優しい材料
デメリット
- 強い衝撃を受けると破折する恐れがある
- 透明感が高いため、土台(コア)の種類によっては透けて見える場合がある
ジルコニアクラウン
ジルコニア(人工ダイヤモンド)だけで作る被せ物で、強度が高く奥歯でも安心。
メリット
- 強度の高い材料で、噛む力の強い奥歯でも使用できる
- 天然歯に近い白さがある
- 体に優しい材料
デメリット
- セラミックよりは透明感が劣る
- 硬度が高いため、噛み合う歯を傷つける恐れがある
ラミネートベニア
歯の表面を少量だけ削り、そこにセラミックの板を張り付けて歯を白くしたり、形を整えたりします。
メリット
- 天然歯のような白さ・透明感が再現できる
- 被せ物よりも歯を削る量が少ない
- 短期間で治療を終えられる
デメリット
- 虫歯のある方や、歯ぎしり・食いしばりが強い方には使えない
- 少量ではあるが健康な歯を削らなくてはいけない
ゴールドクラウン
貴金属(金合金、白金加金など)で作る被せ物で、強度が高く奥歯でも安心。
メリット
- 強度の高い材料で、噛む力の強い奥歯でも使用できる
- 適度な柔軟性があるので、噛み合う歯を傷つけにくい
- 形成しやすく歯との適合性が高い
デメリット
- 金属色が目立つため、審美性が劣る
保険の被せ物
硬質レジン前装冠
内側に金属フレームを使用して、目に見える部分にレジン(歯科用プラスチック)を焼き付けた被せ物です。
メリット
- 天然歯に近い白さがある
- 保険適用なので、費用を抑えて白い歯が入れられる
デメリット
- 歯の裏側の金属が見える場合がある
- 経年的に劣化して変色する場合がある
- 金属アレルギーのリスクがある
CAD/CAM冠
レジン(歯科用プラスチック)だけで作る被せ物で、小臼歯のみ保険適用となります(金属アレルギーと診断された方は大臼歯も対象)。
メリット
- 天然歯に近い白さがある
- 保険適用なので、費用を抑えて白い歯が入れられる
デメリット
- 小臼歯のみ保険適用(金属アレルギーと診断された方は大臼歯も対象)
- 耐久性が劣り、経年的にすり減りやすい
- 強い力が加わると剥落する恐れがある
合金(金銀パラジウム)
金銀パラジウムで作られる被せ物で、いわゆる「銀歯」と言われるものはこちらとなります。
メリット
- 強度が高いのでどの部分でも使用可能
- 保険適用なので費用が抑えられる
デメリット
- 金属色が目立つため、審美性が劣る
- 歯垢(プラーク)が付着しやすい
- 金属アレルギーのリスクがある
詰め物(インレー)
自費の詰め物
セラミックインレー
セラミックだけで作る詰め物で、自然で透明感のある色調が特徴です。
メリット
- 自然な見た目で透明感がある
- 吸水性がないので変色しにくい
- メタルフリーなので金属アレルギーの心配なし
- 体に優しい材料
デメリット
- 強い衝撃を受けると破折する恐れがある
ゴールドインレー
貴金属(金合金、白金加金など)で作る詰め物で、金属なので強度が高いのが特徴です。
メリット
- 金属なので強度が高い
- 適度な柔軟性があるので、噛み合う歯を傷つけにくい
- 形成しやすく歯との適合性が高い
デメリット
- 金属色が目立つため、審美性が劣る
保険の詰め物
合金(金銀パラジウム)
金銀パラジウムで作る詰め物で、いわゆる「銀歯」と言われるものはこちらとなります。
メリット
- 強度が高いのでどの部分でも使用可能
- 保険適用なので費用が抑えられる
デメリット
- 金属色が目立つため、審美性が劣る
- 歯垢(プラーク)が付着しやすい
- 金属アレルギーのリスクがある
前歯の歯並びを1本or2本から白くキレイにしたい方へ
目につきやすい前歯1~2本だけ歯並びが気になるものの「これだけのために矯正歯科治療を受けるのはちょっと…」「費用や手間暇と見合わないのでは…」と思われている方には「前歯のセラミック治療」がおすすめです。
こちらは軽度の前歯のすきっ歯など、気になる歯並びを部分的に整える方法です。
セラミックなどの白くて透明感のある材料で前歯の隙間を埋めることで、低コスト・短期間のうちに歯並びをきれいにすることが可能になります。
メタルフリーへ
人生100歳時代と言われるこの時代、健康で長生きをするためにまず大事なことは、しっかりと栄養のある食事をとることだと思います。(あとは極力ストレスを少なく、適度な運動と睡眠を取ることでしょうか。)
たいていの場合、銀歯かセラミックを選ぶ際、見た目や値段で決めることが多いと思います。
銀歯の場合、よっぽど丁寧に歯ブラシをしないと、虫歯が再発するリスクが高く、銀歯の寿命は10年もないと言います。
多くの方が、長年経つと銀歯と歯の隙間から虫歯になっており、再治療することが多いです。その度に銀歯を外して治療を繰り返していると、やがて残っている歯が少なくなり、歯を抜かないといけなくなることが多々あります。
歯の本数が少なくなってくると、お肉や野菜など栄養があるものが食べにくくなりますし、「食」という楽しみがだんだん薄れてきてしまいます。しっかり噛めるようにインプラントで治療、となると何十万も費用がかかってきます。
そうならないためにも、虫歯になってしまった歯はしっかりと治療を受けられ、今後再治療になりにくい素材で治すことが大切です。
見た目だけではなく、健全な体のためにもメタルフリーをおすすめします。