お口のトラブルが出る原因とは
みなさんが歯医者に行くきっかけはなんでしょうか?
- むし歯で歯が痛い
- むし歯で歯に穴が開いている
- 歯ブラシで歯茎から血が出る
- 歯茎が腫れている
- 歯茎から膿が出ている
- 親知らずが痛い
など、何かしら症状があることが多いと思います。
すなわち「むし歯」や「歯周病」になっており、何かしらの症状が出ていて改善して欲しいと思うからです。
また、「定期検診をして欲しい」「歯や歯茎のクリーニングをして欲しい」というのも、言い換えると「むし歯予防や歯周病予防をして欲しい」と言えます。
お口の中に症状が出る原因として多いのは、やはりむし歯菌や歯周病などの細菌感染による炎症です。
お口の中にはどれだけきれいにしていても、むし歯菌や歯周病菌は少なからずいますし、きちんと歯磨きができていないと、症状が出ることは仕方がありません。
しかし、細菌の感染がなくても、お口の中に症状が出ることがあります。
例えば、
- むし歯がないのに歯が噛むと痛い
- むし歯がないのに歯がしみる
- 詰め物や被せ物が良く外れる
- お口を開けにくい
- 顎が痛い
という症状が出ることはありませんか?
これらの場合は、むし歯菌や歯周病菌の感染がなくても、症状が出ています。
では、なぜ症状が現れているのでしょうか?
それは、過度な物理的な力がかかることで炎症が生じているからです。
体の一部をぶつけたり、叩かれると痛むのと同じように、お口の中にも食事や会話以外で、過度の力がかかると症状が現れるのです。
1日の中で、食事や会話の時に上と下の歯が当たっている時間は、約20分というデータがあります。
食事や会話をしていない時は、「安静空隙」と言い、上と下の歯の間は約2mm離れていて、歯や顎関節に余計な力がかからないようにしなければなりません。
しかし、歯ぎしりや食いしばり、噛みしめ癖やTCHがあると、それの何倍もの時間、上と下の歯が接触することになり歯や顎関節に力による炎症が生じてしまうのです。
加えて、歯並びや噛み合わせが悪い場合は、特定の歯に力が集中し、かなりの確率で強い症状が現れます。
お口の中のトラブルが出ないようにするには、「細菌による炎症」と同じくらい「力による炎症」が起こらないようにコントロールする必要があります。
歯ぎしりや食いしばり、噛みしめ癖がTCHがあると
歯への障害
歯がすり減る、歯が痛くなる、歯がしみる(知覚過敏)、歯が割れる、詰め物や被せ物がよく外れる など
歯周組織への障害
歯茎が下がる、歯周病が進行しやすくなる、歯がグラグラしてくる など
お口の中への障害
口内炎ができやすい、舌がヒリヒリする、舌や頬を噛みやすい など
顎関節への障害
顎を開ける時にカクカクと音がする、顎を開ける時に痛い、顎が開かなくなる など
全身への障害
頭痛、肩こり、腰痛、体のゆがみ など
など、お口の中から全身にまで、様々な悪影響を与える原因になります。
まずは日中の意識から
食いしばり、噛みしめ癖やTCHは日中の意識である程度防ぐことができます。
まずは何もしていない時に、上と下の歯が当たっていないか、2mmほど離れていて隙間(安静空隙)が開いているかが大切です。
食いしばりや、噛みしめが多いのが、何かに集中したり、緊張感や不安感を持っている時なので、一呼吸した時に噛んでいなかったかを確認し、なるべく噛む力がかからないように気をつけましょう。
姿勢も大切です。猫背だと、重たい頭を支えるために食いしばりやすくなります。
また、食事の際に右側だけで噛む、左だけで噛むといった癖があると、どちらか一方の歯に過度な力がかかるため、左右均等に噛むようにしましょう。
夜間の歯ぎしり対策
夜間寝ている間は、意識することができません。
特に夜間の歯ぎしりは、食事の際の何倍もの力がかかると言われるため、お口の中のトラブルが非常に多くなります。
歯や顎関節に過度な力がかからないように、マウスピースを作製し、着用して寝るようにしましょう。
歯ぎしり自体を止める効果はありませんが、顎関節に負担がかからず、歯にも力がかからないようにできるため、トラブル回避につながります。
まとめ
お口の中に症状が出る原因は、むし歯菌や歯周病菌によるものだけではありません。
きちんと歯ブラシや正しい食生活を行なっていれば、むし歯や歯周病は予防できますが、それと同じくらい「力のコントロール」が大切です。
すなわち、歯ぎしりや食いしばり、噛みしめ癖やTCHにより、過度な力がかかり「力の炎症」が生じないようにすることです。
まずは、ご自身がそれらの癖がないかを知ることが大事です。
ご自身での自覚や周りの方からの指摘で、あることを知っている方もいますが、歯ぎしりや食いしばり、噛みしめ癖やTCHがあっても全く自覚のない方もいらっします。
お口の中を見ればそういった癖がある方には、証拠があることが多いです。
歯がすり減っていたり、部分的に歯茎が下がっていたり、舌や頬に噛んだ跡があったり、顎の骨の隆起がみらることで、日頃から噛む癖があることがわかります。
そういう方には、どのような時に噛んでいるかを意識して確認してもらい、夜間の歯ぎしりの場合は、マウスピースの作成が望ましいでしょう。
痛くなくても、少し歯がしみることがある、顎が開けると音がするなどの場合は、ぜひ一度ご相談ください。