歯の表面、特にご自身でも見やすい上の前歯の表面に白い斑点、まだら模様があるので気になる、という方はいませんか?
しみたり痛みもないけど、見た目が気になるのでどうにかしたいな、と悩まれている方も多いと思います。
ぱっと見でも目立つ場合は、コンプレックスに感じていて、歯を見せて笑うのに抵抗がある方もいるかもしれません。
この歯の表面の白い斑点、まだら模様のことを「ホワイトスポット」と言います。
今回は、ホワイトスポットができる原因とその対処法についてお話しさせていただきます。
ホワイトスポットの原因
初期むし歯
むし歯と聞くと歯の表面が茶色かったり、黒いというイメージがあるかもしれませんが、初期むし歯では白いことが多いです。
これは、むし歯菌の酸により、歯の表面のミネラル成分が溶け出すことで、まだ穴は開いていないが、表面の結晶構造が壊れている状態です。
この状態を「脱灰」といいます。
口腔ケアがきちんとできておらず、このままむし歯が進んでしまうと、茶色く、黒くなり、穴も開いてしまいます。
しかし、「脱灰」の状態では、まだむし歯は進んでおらず、歯磨き粉に含まれるフッ素や唾液の作用により、その進行を抑えることができます。
また、脱灰した部分が「再石灰化」することで、自然に白い斑点、まだら模様が薄くなっていく、消える場合があります。
気づいた時から白い斑点がある場合、子どもの頃に歯の表面が溶けて、そのまま「脱灰」した状態になっていることが考えられます。
エナメル質形成不全
歯の表面に白い斑点、マダラ模様がある場合、特に左右の歯が対称のように同じ形や、同じ範囲で白い場合は、「エナメル質形成不全」の可能性があります。
「エナメル質形成不全」とは、歯の一番表面にあるエナメル質が歯茎の中で作られる際に、部分的にうまく作られずに、歯の表面の一部が白くなったままになることです。
エナメル質形成不全の原因としては、遺伝的な要因や、生後間もない時期に高熱が出てしまったり、抗生剤を飲んだりすることで、歯の表面のエナメル質の一部がうまく作られないことが考えられます。
エナメル質形成不全の場合は、初期むし歯と違って、再石灰化することで歯の白い模様が消えることはありません。
「エナメル質形成不全」の場合、歯が作られる過程で問題があるため、歯が生えてきた時から白い模様があります。
ホワイトスポットの治療法
口腔ケア、フッ素塗布
初期むし歯によるホワイトスポットの場合、きちんとした口腔ケアを行い、歯科医院で高濃度のフッ素を定期的に塗ることで、白く脱灰した部分が再石灰化をすることで、周りの健全な歯のように、透明感を取り戻すことがあります。
コンポジットレジン充填
初期むし歯で脱灰した部分が歯の表層だけではなく、少し深い部分にまで進んでしまっている場合は、口腔ケアや高濃度のフッ素塗布を繰り返しても、多少の再石灰化が起こるのみで、ホワイトスポットは消えないことがあります。
また、エナメル質形成不全の場合は、フッ素塗布などでは改善が期待できません。
そこで小さなむし歯の治療の時のように、白くなった部分だけを削り取り、コンポジットレジンという歯と同じ色のプラスチックで埋めることで、ホワイトスポットが改善できます。
しかし、白くなっている部分が深くまで進んでいたり、広範囲に広がっている場合は、対応が難しい場合があります。
また、プラスチックなので、時間の経過とともにすり減ってきたり、着色してくることがあるため、数年ごとに色や形が気になるたびにやり変える必要があります。
少しでも長持ちさせたい場合は、硬さがありすり減りにくい保険外のコンポジットレジンもあります。
ラミネートベニア
ホワイトスポットが広範囲に渡っている場合や、深くまで白くなっている場合には、歯の表面だけ一層削り、薄いセラミックを貼り付ける「ラミネートベニア」という方法があります。
付け爪をつけるような治療で、歯は削らないといけませんが、表層のエナメル質の範囲だけになりますし、しみるのが残ったり、神経を取ったりする必要はありません。
ラミネートベニアの場合、セラミックを使用するため、時間の経過とともに変色することはなく、きちんとケアすることで長期にわたって綺麗な天然の歯のような状態が続きます。
またセラミックなので歯垢や着色も付きにくいのが特徴です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
歯の表面の一部が白くなっているのが気になる方は、結構いらっしゃるのではないでしょうか。
歯科医院で相談しても、むし歯が進んでいるわけではないから様子をみましょうと言われて、そのままになっていませんか?
上の前歯のホワイトスポットは、目立ちますし、コンプレックスに思っている方もいると思います。
白い斑点、まだら模様の原因、深さや範囲によって治療法は異なります。
歯の表面の白い斑点、まだら模様が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。