ブログ

2021.01.16

歯がないところに自分の歯を移植する「歯牙移植」とは!?

歯がないところに自分の歯を移植する「歯牙移植」とは!?むし歯や歯周病、歯にヒビが入ったり割れてしまったため、抜歯をすすめられたけど、できるだけ自分の歯を残したい、自分の歯で噛みたいと思われる方は多いと思います。

やはり状態を見て歯を残すことができない、無理やり残しても身体に悪影響がある場合は、早めに歯を抜く必要がああります。

そして、歯がなくなった部分には歯を補う処置が必要です。

通常、歯がない部分に歯を入れる方法としてはブリッジ、入れ歯、インプラントがあります。
それぞれメリット、デメリットがあるため、きちんと相談して納得のいく方法で治療を進めていきます。

多くの場合、このどれかの方法で治療を進めていくのですが、条件を満たした場合に限り、歯を抜いた部分に、奥の親知らずなどを移植する「歯牙移植」ができる場合があります。

今回は、歯牙移植について詳しくお話しさせていただきます。

歯牙移植とは

歯牙移植とは、抜歯が必要となった部分や、歯を抜いてしばらくたった歯のない部分に、奥に生えていて噛んでいない親知らずなどを、歯がない部分に移植する方法です。

ご自身の歯ですので、別の部分の顎の骨に移植しても、時間の経過とともに元の歯のようにくっついていき、しっかり噛むことができます。

歯を抜くのと同時に親知らずも抜いてその場で移植する場合や、先に抜かないといけない歯を抜いてしばらくしてから親知らずを移植する場合があります。

歯牙移植が適応できる条件とは

通常、奥に生えていてほとんど噛んでいない親知らずを移植するため、親知らずが入るだけのスペースが必要です。

すなわち大臼歯と呼ばれる奥歯が対象になります。

歯を抜いてしばらく経ち、顎の骨がしっかりと治っている場合は問題がありませんが、どういった理由で歯を抜くのかも重要です。

大きなむし歯や、ひび割れてすぐの場合は、歯を支えている顎の骨に炎症がなく、しっかりしている場合が多いので、歯を抜くのと同時に、あるい歯を抜いてしばらくしてから、歯牙移植を行うことができます。

しかし、歯周病が進行している場合や、歯が割れてしばらく放置していた場合は、顎の骨が炎症で大きく溶けている場合があり、歯牙移植できない場合があります。

また、移植に使われる親知らずも、歯や歯根膜(歯の根の周りの膜)を傷つけずにそっと抜く必要があるため、骨の奥に埋まっている親知らずや、根が複雑に分かれている親知らずは、歯牙移植に使うことができません。

事前に3次元的に見れるCTを撮影し、抜かないといけない歯の周りの骨の状態はどうか、移植予定の親知らずのはや根っこの形はどうかなどをきちんと精査する必要があります。

歯牙移植は外科的な処置を広い範囲で行う必要がありますし、移植した親知らずがきちんと移植した部分の骨とくっつくだけの回復力があるか、などをこうりょし、歯牙移植は40歳くらいまでに行う方が良いとされます。

歯牙移植の流れ

まずは抜かないといけない歯やその周りの顎の骨(歯槽骨)の状態の確認をする必要があります。

もし既に歯を抜いてしばらく経過している場合は、きちんと歯槽骨が治っているかを確認します。

そして、移植できる親知らずがあるかを確認します。

通常、手術の範囲を小さくするために、歯を抜いたところと近い部分の親知らずを移植しますが、どうしても近くに親知らずがない、あるけど顎の骨に埋まっていたり根が複雑に分かれていて、ダメージを与えることなく抜くことができない場合は、遠い部分の親知らずで移植できる歯がないかを確認します。

そして、歯牙移植ができそうな条件を満たしていれば、CT撮影をして、抜く歯と移植する歯の大きさは問題ないか、また親知らずの方が大きい場合は移植する部分の骨をどれだけ削らないといけないかを確認します。

いざ治療となった場合、まずは抜かないといけない歯を抜きます。
そして親知らずがすっぽり入るように、抜いた歯の顎の骨の形を整えます。

もし、昔に歯を抜いて顎の骨が閉じて治っている場合は、移植する部分の歯茎を切開し、親知らずが入るように骨を削ります。

そして、そっと抜いた親知らずを抜いた部分の顎の骨の中に入れ、糸やワイヤーなどでお口の中に維持できるように固定します。

移植後は歯と骨がくっつくまで2〜3週間安静にします。

親知らずを抜く際に、歯の神経は切断され死んでしまいますので、ある程度親知らずと骨がくっついた後、移植した親知らずの神経の治療(根管治療、歯の根の中の治療)を行います。

その後半年近くかけて、移植した歯と骨がくっつき、しっかりと噛めるようになります。
治療の負担や時間はかかりますが、自分の歯でまた噛めるようになるため、歯牙移植は素晴らしい治療と言えます。

歯牙移植のメリット

抜いた歯にご自身の歯を移植するため、ブリッジのように隣の歯を削らずに済みます。

インプラントのように費用や大きな手術が必要ありません。(抜く歯と移植する歯が離れている場合は、処置範囲が広くなります)

また、移植した歯とはいえ、ご自身の歯で噛めるため、入れ歯と比べてしっかり噛むことができます。

抜歯と同時に行うことができる場合、あるいば抜歯した同月で移植を行うことができる場合は保険が効くため、1万円程度で歯を補うことができます。

それ以外の場合は保険外診療になりますが、10万円前後なので、インプラントと比べると費用を抑えることができます。

歯牙移植のデメリット

歯牙移植は100%成功するわけではありません。

歯を抜く部分の歯槽骨に炎症があったり、親知らずを抜く際に、歯根膜にダメージがあったりすると、移植した親知らずが移植した部分の顎の骨ときちんとくっつかないことがあります。

また、もともとある歯ではないため、数年後に根が吸収されてグラグラしたり、再度抜かないといけなくなる場合もあります。

よく相談した上で、歯牙移植を検討する必要があります。

いかがでしたでしょうか?

歯を抜かないといけない、歯がない部分に歯を入れる方法の一つに「歯牙移植」があります。

いくつかの条件を満たしていないといけなかったり、数年後にダメになる場合もありますが、ご自身の歯でしっかり噛むことができる、他の歯にも負担をかけずに比較的費用を抑えて歯を入れることができます。

歯を抜かないといけないと言われている、歯がない部分がある方は、歯牙移植ができないか一度相談してみると良いでしょう。

歯牙移植ができるかの相談は、どんな些細なことでも受け付けております。
気になる方はぜひご相談ください。