「最近前歯がでてきた気がする」
「昔より前歯の並びがガタガタしてきた」
「だんだん出っ歯になってきた」
とお悩みの方はいらっしゃいますか?
歯の並びは、歯列矯正をしない限り良くはならないですが、「昔はそんなに気にならなかったのに徐々に前歯が出てきた」、「矯正できれいにしたのに前歯がガタガタしてきた」、などと大人になってからも歯並びが悪くなることはあります。
それにより、
- 食事や会話がしにくくなった
- 唇が閉じにくくなった
- 歯磨きがやりにくくなった
- 見た目が気になるようになった
など、日常生活にも支障をきたすことがあります。
今回は、前歯が出てくる(歯並びが悪くなる)原因、治療法、予防法についてお話しさせていただきます。
前歯が出てくる原因
歯ぎしり、食いしばりがある
食事や会話の時以外は、上下の歯は接触していてはいけません。
顎の関節がリラックスできていると、上と下の歯は約2ミリ離れていて、安静空隙というスペースがなくてはいけません。
しかし、常に上下の歯が当たっている(TCH、歯列接触癖)方や、歯ぎしりや食いしばりがある場合、歯に力がかかり続けることで、矯正治療と同じように、歯の位置が動いてしまうことがあります。
舌で前歯を押す癖がある
リラックスできて問題がない場合、舌先は上のあごの先端に軽く触れ、舌全体が上あごにくっついている状態が理想です。
この正しい舌の位置を「スポット」と言います。
舌がスポットの位置になく、舌先が前歯の裏にあると、前歯が前に出る力がかかり、徐々に出っ歯になることがあります。
歯周病が進行している
歯は、歯の根っこ(歯根)が固い顎の骨(歯槽骨)に支えられていることによって、しっかりと噛むことができます。
しかし、歯周病で歯の周りの組織に炎症が広がると、歯茎がブヨブヨしたり、顎の骨が溶けることで、支えが弱くなり歯が動きやすい状態になります。
これを病的歯牙移動と言います。
大きなむし歯や、歯が抜けたまま放置している
歯はきちんと生え揃っていることで、歯の位置が維持されます。
大きなむし歯で歯の頭が欠けていたり、歯を抜いたまま放置していると、そのスペースを埋めるように前後の歯が動いてきます。
そのことで歯並びや噛み合わせが悪化することがあります。
親知らずが押している
親知らずが横向きに生えていると、前の歯を押すような力がかかり、奥歯から少しずつに前に動き、前歯が押し出され、出っ歯になることがあります。
矯正後の後戻り
矯正治療により、半ば無理やり歯を動かし、きれいな歯並びになった歯は、治療後しばらくは元の位置に戻ろうとする力が働きます。
そのために「保定」といって、歯をワイヤーで固定したり、マウスピースを入れて、動かした歯がその位置に安定するまで、固定する必要があります。
きちんとした保定が行われていないと、「後戻り」といって、せっかくきれいに並んだ歯の位置が、元に戻り歯並びが悪くなることがあります。
指しゃぶりや唇をかむ(お子さんの場合)
大人ではないと思いますが、お子さんの場合、指しゃぶりや唇を噛む悪習癖があると、前歯が前に出るような力がかかり、徐々に出っ歯になることがあります。
特に成長期において指しゃぶりや唇を噛む悪習癖があると、上のあごが前に出たり、上と下のあごの成長のバランスが崩れる恐れがあります。
前歯が出てきたときの治療法
矯正治療を行う
歯の位置、並びを変えるには矯正治療になります。
前歯だけの部分矯正で対応できるのか、全体を動かす矯正になるのか、診査のもと決めていきます。
もしも親知らずが原因で、歯並びが変わってきているようでしたら、矯正治療の前に親知らずの抜歯も行います。
大きなむし歯や、歯がないままになっている部分があれば、併せて治療を行います。
セラミック治療を行う
矯正治療となれば、時間や費用がかかります。
またワイヤーやマウスピースなどの装置にも、抵抗がある方がいると思います。
そこで出ている歯を削り、セラミックの被せを入れて歯の形を修正することで、短期間で費用を抑えて治療をすることができます。
しかし、削った歯は戻らないですし、歯の位置を変えているわけではないため、左右非対称になったりする場合があります。
歯周病治療を行う
歯周病の進行により、わずかながら歯の位置がずれてきている場合は、歯周病の治療を行い、歯肉や歯槽骨の状態が良くなることで、下の位置に戻る場合があります。
前歯が出ないようにする予防法
マウスピースを使用する
歯ぎしりをされている方は、寝ている時に、歯に強い力がかからないように、マウスピースを使用すると良いでしょう。
歯型を取って、その方に合うオーダーメイドのマウスピースを作ります。
歯ぎしりがあると、歯がかけたり、知覚過敏や顎関節症、歯周病の進行の予防にもつながります。
日中の食いしばり癖に気をつける
食事や会話の時以外は、上と下の歯は離れてないといけません。
しかし、常に上下の歯と歯が接触しているのが癖になっている方がいらっしゃいます。
TCH(Tooth Contacting Habit:歯列接触癖)といい、TCHがあると強い力ではないですが、歯に長時間力がかかり、歯が動く原因となります。
1日に何度も意識して、歯が当たらないように気をつけましょう。
舌を正しい位置におく
舌で前歯の裏を押さないよう、舌の位置は「スポット」にあるよう意識しましょう。
むし歯や歯周病の治療を行う
むし歯や歯周病を放置していると歯並びが悪くなります。
早めに歯科医院で治療を受けるようにしましょう。
定期検診で、むし歯チェックや歯茎のクリーニングをうけ、きれいな状態に保つようにしましょう。
親知らずを抜く
横に生えている親知らずは、前の歯を押す可能性があります。
また、磨きにくかったりしてむし歯になったり、痛みが出ることがありますので、早めに抜歯することをおすすめします。
指しゃぶりや唇をかむ癖をなくす(子ども)
お子さんの場合、小さい頃は仕方がないですが、4歳くらいでも指しゃぶりや唇をかむ癖があると、出っ歯にや開咬(上と下の前歯が噛んでいない状態)になります。
癖になっている場合は、なぜいけないのかをきちんと説明し、注意するようにしましょう。
特に成長してからの指しゃぶりは、寂しさの現れといいます。
きちんとお子さんに向き合って、遊んだり会話をしてあげましょう。
また、外でよく遊ぶことで、ストレスが発散できたり、汚れた指を口に入れにくくなります。
いかがでしたでしょうか?
日々の生活の中で、歯の並びが悪くなり、前歯が出てくることがあります。
今回お話しした項目に当てはまることはないか、一度確認してみてください。
気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。