歯並びや歯の色は、その人の顔の印象を決めるのに、大きく関わっています。
特に上の前歯の並びや色は、目立ちやすいため、特に重要です。
むし歯で黒くなっていたり、歯の周りの歯茎が腫れていたりすると、マイナスの印象になることもあります。
そして、上の前歯の間が少しだけ隙間が開いている、いわゆる「すきっ歯」という方もいらっしゃると思います。
すきっ歯はぱっと見で、他人からもわかりやすいため、気にされている方もいると思います。
今回は、大人の方の前歯の隙間(すきっ歯)の原因と治療法についてお話しさせていただきます。
前歯に隙間(すきっ歯)ができる原因とは?
前歯が乳歯から永久歯に生え変わる時に、隙間が開いてすきっ歯のお子さんは多いと思います。
小さな乳歯のまま6歳くらいまで成長し、顎の骨だけが大きくなることで、歯と骨のバランスが合っていなかったり、前歯が少し斜めに生えることで隙間が生じます。
しかし、徐々に後ろの歯が永久歯に生え変わることで、前歯の隙間は押されて閉じてくることがほとんどですが、様々な要因により、成長が終わってからも前歯の間に隙間が残ることがあります。
また、以前は隙間がなかったのに、年々すきっ歯になることもあります。
すきっ歯になる原因には色々あります。
どれか当てはまるものはないか、思い返してみましょう。
顎の骨の大きさと歯の大きさのバランスが悪い
歯の並びは、まずは顎の骨の大きさと歯の大きさのバランスで決まります。
顎の骨が歯の大きさに大きすぎたり、逆に歯の大きさが小さかったりすると、バランスが合わず隙間が残ってしまいます。
全体的に隙間が残る場合もありますが、前歯にだけ隙間が残るとすきっ歯になる原因となります。
出っ歯になっている
奥歯の歯並びは問題がなくても、前歯が出っ歯になっていることで、歯が前に押し出されて、歯と歯の間に隙間があることがあります。
歯の本数が少ない
本来、永久歯は中切歯、側切歯、犬歯、第1小臼歯、第2小臼歯、第1大臼歯、第2大臼歯の計7本が上下左右それぞれにあります。
しかし、先天性欠如といって側切歯(2番目)や第2小臼歯(5番目)の歯が生まれつき生えてこない場合があります。
その場合、歯の本数が少ないことで、歯が並ぶはずのスペースが余り、歯と歯の間に隙間が残り、すきっ歯になることがあります。
舌が大きい
舌が大きいと、舌が収まるスペースが窮屈で、歯を裏側から舌で押す力が自然とかかることがあります。
歯に裏側から力がかかり続けることで、歯が少しずつ前に移動して、歯と歯の間が開いてくることがあります。
成長期に指や爪を噛んでいたり、舌で歯を押す癖があった
成長期に指や爪を噛む癖があったり、舌で歯を押す癖があった場合、前歯が前に押し出される力がかかることで、前歯が前に出た状態の歯並びになることがあります。
前歯の位置が前にあったり、前に傾くことで、前歯の間に隙間が残り、すきっ歯になることがあります。
歯周病が進んでいる
歯周病により、歯の周りの歯茎や骨に炎症があると、歯がグラグラして移動しやすくなります。
これを病的移動といい、前歯では特に、前に押し出されるようになります。
歯が前に出ることで、昔と比べて、前歯の隙間が開いて、すきっ歯になることがあります。
前歯の間が開いている(すきっ歯)リスクとは?
見た目のコンプレックスになる
上の前歯の歯並びや色は、人の顔の印象を決めるのに大きく影響してきます。
上の前歯の隙間が開いていると見た目が気になり、大きくお口を開けて笑うのをためらったりする場合もあります。
むし歯や歯周病になりやすい
歯と歯の間は隙間がなく、ギュッとなっていることで、食べ物が挟まりにくかったり、プラーク(歯垢)が残りにくくなります。
歯と歯の間に隙間がある(すきっ歯)ことで、食べ物が挟まりやすくなったり、歯磨きの毛先が当たりにくく歯垢(プラーク)が残りやすい部分が出てきます。
そうなるとむし歯や歯周病になるリスクが上がってしまいます。
発音がしにくい
歯には食べ物を噛んだりする役割だけでなく、言葉を発する発音にとって大切な物です。
空気を溜めたり、舌を使って言葉を発しますが、歯と歯の間に隙間がある(すきっ歯)と、空気が漏れて発音がしにくくなります。
特に「サ行」が言いにくくなります。
前歯の隙間(すきっ歯)の治療法
ダイレクトボンディング
小さなむし歯の治療で、むし歯を取り除いた穴を詰める時に、コンポジットレジンという歯科用のプラスチックを用いますが、そのコンポジットレジンで、歯と歯の隙間を直接埋めることで、見た目のすきっ歯を治すことができます。
これをダイレクトボンディングと言います。
隙間をプラスチックで埋めるだけなので、ご自身の歯はほぼ削らずに、治療も1回で終わります。
しかし、この場合歯の位置を動かしているわけではなく、隙間をプラスチックで埋めているので、歯の見た目が少し大きくなります。
また、プラスチックなので、時間の経過とともに、変色してきたり、力がかかると外れてしまうリスクがあります。
歯と歯の隙間が広すぎる場合は、対応できない場合があります。
将来的に、やはり矯正治療で治すとなった場合は、付けた部分だけ削り取って外すことができます。
セラミック治療
歯の表面を削り、セラミックを用いて、歯の形を変えることで、歯の隙間をなくすことができます。
表面の一層だけ削ってセラミックを貼り付ける「ラミネートベニア」や全体をセラミックで被せる方法があります。
ダイレクトボンディングと違って、経年的な劣化はほとんどありません。
人工的なセラミックを歯の表面に被せるため、歯の色や形もきれいにすることができます。
治療としては2〜3回で終わることが多いです。
ただし、歯を削らないといけませんし、一度削ったご自身の歯は戻ることがありません。
部分矯正
やはり歯並びを治すなら、矯正治療が必要です。
すきっ歯の原因も様々あり、全体にすきっ歯なのか、生まれつき歯の本数が少ない事で隙間が生じているのか、あるいは前歯が前に出ている事で隙間が生じているのか、原因を見極める必要があります。
そして、その原因に応じて、全体的に矯正がいるのか、部分的な矯正で治るのか判断し、矯正治療を行なっていきます。
前歯だけに問題があり、部分矯正で対応できる場合は、比較的短期間(半年くらいで済むことも)、低コストで矯正治療ができます。
矯正治療には従来のようにワイヤーをつけて歯を動かす方法と、透明なマウスピースで歯を動かす「インビザライン矯正」があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
日本人は骨格が小さく、顎の骨も小さいため、歯が並ぶスペースが足りず、歯並びが悪い方が多いと言われています。
特に、歯並びの悩みの中でも多いのが「前歯」に関することです。
- 前歯が出ている(出っ歯)
- 前歯が重なっている(ガタガタしている)
- 前歯がすきっ歯(すきっ歯)
など、人目につきやすい前歯は、コンプレックスに感じている方も多いのではないでしょうか?
人の第一印象を決めるのに歯並びは大きなウェイトをしめますが、特に前歯の歯並びや見た目は重要になってきます。
矯正するのは時間や費用がかかるから悩んでいる、という方もいると思いますが、「すきっ歯」は矯正治療以外でも治せる場合があります。
実際にどれだけのスペースが開いているのか、また他の歯の歯並びなどによっても、治療の選択は変わってきます。
上の前歯の隙間(すきっ歯)が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。