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2021.01.26

保険診療と自由診療の違いについて

歯科の治療においては、一般的な治療で適応される保険診療と、矯正治療やインプラント治療などの保険が効かない治療、すなわち自由診療(保険外診療)とがあります。

今回は保険診療と自由診療の違いについて、細かくお話し保険診療と自由診療の違いについてさせていただきます。

まず保険診療とは、「疾病などで失われた機能を最低限回復するための治療」に対して使うことができます。

痛い、噛めないなどの症状がある状態を、痛くない、噛める状態にするもので、使う材料は制限があります。

例えば、むし歯が大きい場合には銀歯、奥歯がない場合は入れ歯と、ある程度決められた治療を受けることになります。

しかし、あくまでも症状がある状態を、改善するための治療なので、「白い歯で見た目まできれいにする」ことや、「自分の歯があるようにしっかりと噛むことができる」ことまでは、なかなかできない場合があります。

健康保険に加入している方では、治療にかかる費用の3割負担で治療を受けられます。

高齢の方や子ども、医療券のお持ちの方は負担額が変わります。

海外で保険制度がない国では、むし歯の治療に数万円、抜歯となると数十万円かかる国もあるので、治療を受けられない人もいる一方、日本ではほとんどの方が費用を抑えて治療を受けられるのが特徴です。

しかし、海外と比べると治療も安い分、むし歯になっても放置される方が多いのも事実です。

保険診療と自由診療の違いについて自由診療とは、保険が効かない診療、保険外診療と言われるもので、治療費は全て自己負担になります。

その分、使える材料に制限がないため、症状の改善だけでなく、見た目もきれいにするセラミックを用いた審美治療や、ご自身の歯のようにしっかりと噛めるようにするインプラント治療、歯並びや噛み合わせをよくする矯正治療などを行うことができます。

費用はかかりますが、その分時間をかけ、いい素材で、最高の治療を受けていただけると思います。
では、もう少し保険診療と自由診療の違いについて、お話しさせていただきます。

素材の違い

保険診療では、小さなむし歯では「コンポジットレジン」というプラスチック、大きなむし歯では「金銀パラジウム」という銀歯を用いて治療します。「コンポジットレジン」は毎日の食事や歯ぎしり・食いしばりなどで力がかかることで、時間と共にすり減ったり、欠けたりする場合があります。また、表面も少しザラザラしているため、ステインなどが付きやすかったり、着色して茶色くなることがあります。「金銀パラジウム」も強度はありますが、様々な金属を用いているため、表面が電気を帯びており、プラーク(細菌)が付きやすくむし歯になりやすいのです。また、少しずつ溶け出た金属イオンが身体中に循環し、アレルギー症状を引き起こすこともあります。入れ歯の場合も、基本的にはプラスチックで作るため、分厚くて異物感が強かったり、しっかりと噛めない、割れやすいなどの性質があります。

自由診療では、その方の歯の状態や希望により様々な素材を用いることができます。天然の歯のように見た目が白く、透明感のある美しさを求める場合は「セラミック」。歯ぎしりや食いしばりがあり、セラミックと同じように白くしたいが、さらに強度も必要な場合は「ジルコニア」。見た目よりも、とにかく歯との馴染みがよく、長持ちさせたい場合には「ゴールド」。その方が何を求めるのかに応じて、相談しながら最善の素材を選択することができます。入れ歯の場合も、金属を用いて限りなく薄くできるため、話しやすい上に強度もあり、しっかりと噛むことができます。入れ歯が嫌な場合には「チタン」を用いたインプラント治療をすることもできます。

見た目の違い

保険診療では、見た目の審美的な改善までは行えないため、「コンポジットレジン」で最低限白くはできますが、強度や精度は劣ります。また詰め物や被せ物も銀歯になりますし、入れ歯も金属の針金が目立つことがあります。

自由診療では、機能の回復だけではなく、審美面の回復も行うことができます。詰め物や被せ物はセラミック やジルコニアを用いて白く、かつ強度のある素材で治すことができます。入れ歯が嫌な場合には、インプラントを用いて、天然の歯のように、見た目も綺麗できちんと噛むようにすることができます。見た目や噛み合わせが気になる場合は、矯正治療により歯並びや噛み合わせの改善を行うことができます。

健康面への影響

保険診療の材料では、「コンポジットレジン」は表面がざらざらしているため、銀歯は表面に電気を帯びているため、ともにプラーク(細菌)が付きやすく、きちんと歯磨きをしないとむし歯が再発しやすい材料です。また、銀歯は溶け出た金属イオンが全身に循環し、アレルギー症状を引き起こすことがあります。

自由診療で用いる「セラミック」や「ジルコニア」強度があるため表面に傷がつきにくく、銀歯のように電気を帯びていないため、プラーク(細菌)が付きにくく、付いたとしても歯磨きで比較的簡単に取り除くことができるため、むし歯になりにくいと言えます。また、金属アレルギーの心配も必要ありません。

精度の違い

保険診療と自由診療では最終的な詰め物や被せ物の材料も違いますが、型取りをする材料や、歯の模型に使う材料にも違いがあります。

保険診療では、基本的に歯型は「寒天とハイドロコロイド印象材(アルジネートというピンク色のグニャッとしたもの)」を用います。この材料でも正確には歯の方を取ることができるのですが、温度や水分量によって変形しやすく、また乾燥にも弱い素材です。歯型を取った後は、石膏を流して詰め物や被せ物を作るための模型を作るのですが、その石膏も「硬石膏」というものを用いるため、膨張しやすい性質があります。そのため、最終的にできてきた詰め物や被せ物が、実際の歯に入れてみるとわずかな隙間がある、ということもあります。

これに対し、自由診療では歯の型取りの際には「シリコン印象材」を用いるため、収縮率も約0.02%と、ほとんど誤差がなく正確に歯の型を取ることができます。そして、石膏も膨張による変形がほとんどない「超硬石膏」を用いるため、実際の歯の状態と寸分の違いがない状態を模型上で再現できるため、そこから作られた詰め物や被せ物も、実際歯に装着して拡大して見ても、ほとんど隙間がないきれいなものになります。そのおかげで、保険診療の詰め物や被せ物と比べると、取れにくく持ちが良かったり、隙間からのむし歯になりにくくなります。

いかがでしたでしょうか?

保険診療と自由診療の違いは「見た目」だけど思われている方もいると思います。

しかし、素材の違いから自由診療で用いる素材は、むし歯になりにくかったり、体への影響もなく安全ですし、型取りの材料も違うため精度までが全然違うことを知っていただきたいです。

日本は保険診療があるため、できるだけ安く治療を受け、再度むし歯になれば削って銀歯にと思う方もいると思いますが、一度むし歯になったり削った歯は、元には戻りません。

「全身の健康はお口の健康から」というので、お口の中の状態はとても大切です。

一生自分の歯でしっかりと食事をして、大きく笑ってきれいな歯が見えるように、歯を大事にしていただきたいと思います。

そのためにも、日頃からむし歯予防をきちんと行い、一度むし歯になった部分はしっかりと治して、もう2度とむし歯にならないような気持ちでいて欲しいと思います。

自由診療の場合、素材や治療のオプションなど多くあり、わからないこともあると思いますので、気になることがあれば、なんでも気軽にご相談ください。