ブログ

2021.02.16

保険の白い詰め物(コンポジットレジン)のお話

保険の白い詰め物(コンポジットレジン)のお話今回はむし歯治療でよく使われる「コンポジットレジン」という白い詰め物について、お話させていただきます。

昔のむし歯の治療といえば、材料も限られていたため、削った部分を金属で埋める治療が多かったと思います。

小さなむし歯でも金属で埋められていたり、高齢の方でしたら前歯でも金属で埋めて治されていることがあります。

しかし、歯科の材料も進歩しており、今は小さなむし歯の治療でしたら、「コンポジットレジン」という白い歯科用のプラスチックが多いです。

前歯はもちろんのこと、奥歯のむし歯でも、大きさや状態によりますが、コンポジットレジンで治すことが増えてきています。

では、もう少し詳しくコンポジットレジンの利点や欠点、適応などについてお話していきます。

コンポジットレジンとは

コンポジットレジンとは歯科用の樹脂、プラスチックのことです。
はじめは柔らかく、力を加えることで形を整えることができ、専用の光を当てると硬化します。

昔のコンポジットレジンは、すぐ取れたり、割れやすかったりと、治療できる範囲が限られていましたが、材料の進歩により取れにくくなっていますし、強度も上がっているため、力のかかる奥歯の治療でも使われております。

また、見た目も白いため、むし歯の治療以外でも、すきっ歯の間を埋めるのに使用されたりします。

コンポジットレジンの利点

治療が1回で終わる

むし歯を取り除き、その部分にコンポジットレジンを詰めて終わるため、治療はその日1回で終わります。
インレーと言われる詰め物の場合、型取りをして、できてきた詰め物を付けるため、治療には2〜3回かかります。

見た目が歯と同じように白い

コンポジットレジンは白いプラスチックのため、つめた部分も元の歯とわかりにくいくらいに、目立ちにくい仕上がりになります。

また、コンポジットレジンは色の種類も多くありますので、その歯にあった色で自然に治す事ができます。

保険治療なのでコストを抑えられる

基本的には保険治療になるので、1本あたり1000円前後で治療を受ける事ができます。
変色がしにくく、強度もある保険外のコンポジットレジンもありますが、その場合は3万円前後します。

歯を削る量が少ない

むし歯を削って取り除き、開いた部分にコンポジットレジンを詰めるため、歯を削る量は最小限で済みます。

インレーと言われる詰め物の場合、詰め物が入るように、そして取れにくいように、幅や厚みを確保するために、歯を削る量は多くなります。

金属アレルギーの心配がない

銀歯と違って、金属が含まれないため、体への害もなく、金属アレルギーの方でも安心して治療を受ける事ができます。

再治療がやりやすい

銀歯などの隙間からむし歯になった場合、一度銀歯を削って外し、再度型取りをして、新しい銀歯を付ける治療になります。

コンポジットレジンの場合、むし歯になった部分のみを削り、そこだけコンポジットレジンで埋める事ができるため、むし歯で再治療になっても治療がやりやすいです。

コンポジットレジンの欠点

時間の経過で変色することがある

治療直後は、埋めた後きれいに仕上げ磨きをするため、表面は滑沢ですが、時間の経過とともにコンポジットレジンの表面が溶けてきてザラザラしてくる事があります。

そうなると、表面に飲食物やタバコなどの着色が付きやすくなります。
セラミックの場合は、表面も硬く、時間の経過で着色しやすくなることはほとんどありません。

時間の経過ですり減る

十分な硬さはもちろんありますが、コンポジットレジンはプラスチックのため、天然の歯や銀歯、セラミックと比べると硬さが劣ります。

日々の食事や歯ぎしりなどでコンポジットレジンの表面がすり減ってくる事があります。
すり減る事で噛みにくくなったり、表面がザラザラし着色しやすくなります。

また、歯と歯の間に詰めた場合、すり減る事で、お肉や繊維質の食べ物が挟まりやすくなる事があります。
歯の間にむし歯が進んでいる場合は、強度のある銀歯やセラミックで治すことをお勧めしております。

割れたり取れたりする事がある

コンポジットレジンは銀歯やセラミックと比べると強度が劣るため、力がかかることで、歪みが生じて割れたり、取れてしまう事があります。

頻繁に割れたり取れる場合は、強度のある材質で治すことをお勧めします。

コンポジットレジンで適応できるむし歯とは

比較的小さいむし歯や力がかからない部分の治療に適応できます。
前歯の場合は、奥歯ほど力がかかりにくいためコンポジットレジンで治療をする事が多いです。

前歯のむし歯でも、むし歯が大きくてご自身の歯があまり残っていない場合は、コンポジットレジンだと外れたりするため、強度のある被せ物で治す事があります。

奥歯でも、歯の表面の溝からできたむし歯はコンポジットレジンで治すことが多いです。
歯と歯の間のむし歯も、インレーだと歯を削る量が増えてしまうため、むし歯の範囲が小さければ、コンポジットレジンで治すことがあります。

しかし、歯と歯の間のむし歯の場合、間につめたコンポジットレジンは、力がかかるとすり減って食べ物が挟まりやすくなったり、外れたり欠けたりする場合がありますので、しっかりと相談の上で、リスクを承知の上で行うことになります。

まとめ

今回はむし歯治療で用いる、保険の白いプラスチック「コンポジットレジン」についてお話させていただきました。

コンポジットレジンは「歯のように白くて目立ちにくい」「治療回数が1回ですむ」「歯を削る量が少なくて済む」などのメリットがあり、昔と比べて歯の治療方を大きく変えた材料と言ってもいいでしょう。

しかし、あくまでプラスチックなので、変色してきたり、外れたりすることがありますし、むし歯の大きさによっては適応できないことがあります。

小さいむし歯でも、奥歯の歯の間のように力のかかる部分には適用できないこともあります。
むし歯が小さいうちでしたらコンポジットレジンで治療できることが多いですので、定期検診を受け、むし歯の早期発見・早期治療を受けることで、治療回数や費用を抑えることができます。

症状がない方でも、むし歯になっていることはありますので、定期検診を受けるようにしましょう。